リッチー・ホゥティン

リッチー・ホゥティン：テクノ界の革新者

リッチー・ホゥティン（Richie Hawtin）は、1970年生まれ、イギリス出身のテクノミュージシャン、DJです。デトロイト・テクノ、アシッドハウス、ミニマルテクノ、クリックミュージックのパイオニアとして知られ、その革新的なサウンドとDJスタイルは、世界中のテクノシーンに大きな影響を与え続けています。

デトロイト・テクノとの出会いと独自の進化

デトロイトの対岸、カナダのオンタリオ州で育ったホゥティンは、初期からデトロイトのテクノシーンに関わり、その隆盛に貢献しました。デトロイト・テクノの文脈で語られることが多いものの、自身は特定のジャンルに固執せず、シカゴ発祥のアシッドハウスに触発され、TB-303のサウンドを追求した独自のスタイルを確立しました。ハードフロアらと共に、1990年代初頭のアシッドハウスリバイバルを牽引し、数々の作品は高い評価を得ました。

「Concept 1」シリーズでは、実験的なトラックを制作し、現在のクリック・ミニマルの源流を築きました。現在では、ミニマルシーンの旗手として、絶大な支持を集めています。

多彩な名義と音楽性

リッチー・ホゥティンは、複数の名義で音楽活動を展開しており、それぞれの名義で異なるジャンルのテクノを制作しています。特に、TB-303を多用した実験的なプロジェクト、Plastikman名義での活動は有名です。F.U.S.E.名義では、1990年代初期のインテリジェント・テクノのアーティストとして、Warp Recordsの"Artificial Intelligence"シリーズにも楽曲を提供しました。また、自身のレーベルとして、Plus 8、M_nusなどを運営しています。

近年では、Mix CD"DE9"シリーズにおいて、従来のレコードを繋ぐ形式に捉われず、エフェクターを多用したり、個々のトラックを分解・再構築するなど、革新的な手法で常にテクノシーンの最前線を走り続けています。

音楽的ルーツとキャリア

幼少期、ロボット工学技師の父の影響で機械への興味を深めたホゥティンは、10代後半に対岸のデトロイトへ頻繁に出入りするようになり、テクノミュージックに出会います。ジェフ・ミルズのラジオ番組に触発され、DJへの関心を高め、地元のバーでDJキャリアをスタートさせました。デトロイトのクラブ、ザ・シェルターでのレジデントDJを経て、デリック・メイ、ホアン・アトキンス、ケビン・サンダーソンらが主催するアフターパーティーに参加する中で、音楽制作を意識するようになります。

ジョン・アクアヴィヴァとの出会いをきっかけに、本格的なレコーディング活動を開始。当初はデトロイトのレーベルに相手にされなかったものの、自身のレーベルPlus 8を立ち上げ、States Of MindやCybersonik名義でヨーロッパで成功を収めます。Plastikman名義での活動も本格化し、Mute Recordsからのリリースを機に、世界的な成功を収めました。

アメリカ入国禁止とミニマルへの傾倒

1995年、アメリカへの入国を禁止されたホゥティンは、その期間中にレコーディング・スタジオに籠り、ミニマルなサウンドの追求を始めます。Concept 1プロジェクトを経て、より実験的な音楽へと傾倒し、自身のレーベルM_nusを設立。よりクリエイティブで構築的なサウンドを追求しました。

ベルリンへの移住と新たな展開

ニューヨークを経てベルリンへ拠点を移したホゥティンは、よりリラックスした環境で活動を再開。トリノオリンピックの開会式に楽曲を提供するなど、活動の幅を広げました。M_nusの10周年を記念したプロジェクトCONTAKTでは、世界10都市を巡るパフォーマンスを敢行。東日本大震災の復興支援イベントを開催するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。

日本文化への造詣も深く、日本酒を愛し、アパレルブランド「Richly.Hawtin」を立ち上げるなど、多岐にわたる活動を展開しています。

リッチー・ホゥティンは、常に革新的な音楽を追求し、テクノシーンの進化を牽引し続ける、真のパイオニアと言えるでしょう。

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