リッツ (クラッカー)

リッツ

リッツ（Ritz）は、世界的に広く知られるクラッカーのブランド名です。アメリカ合衆国のナビスコが開発し、1934年に誕生しました。現在は、親会社であるモンデリーズ・インターナショナルが、アメリカ国外を含む多くの国や地域で製造・販売を手掛けています。リッツクラッカーは、その丸い形と縁のギザギザ、そして片面に施された軽い塩味が特徴です。

歴史

リッツは1934年11月21日に市場に初めて登場しました。ブランド名の由来について、発売元のナビスコは、高級ホテルとして有名な「ザ・リッツ・カールトン」にちなんで名付けられたと説明しています。これは、リッツクラッカーに富や魅力といったイメージを結びつけたいという意図から来ています。

世界における展開

特にアメリカ合衆国やカナダでは、様々なバリエーションのリッツが提供されています。定番のプレーンタイプに加え、塩分を抑えた低塩タイプ、脂肪分を減らした低脂肪タイプ、健康志向の全粒粉タイプ、さらにはシナモン味のような風味付きのものも存在します。これらの地域では、小型のリッツクラッカー2枚の間にフィリングを挟んだ「リッツ・ビッツ・サンドイッチ」も人気です。サンドイッチのフィリングには、チーズやピーナツバター、スモアといった定番の味に加え、かつてはピザ味なども販売されていました。リッツ・ビッツにはプレーンタイプもあります。さらに、こんがりと焼き上げられた「リッツ・トースティド・チップス」や、細長い形状の「リッツ・スティックス」といった派生商品も展開されています。

日本市場における歴史と変化

日本においては、1971年にヤマザキナビスコ株式会社（現在のヤマザキビスケット株式会社）の創業第1号商品として販売が始まりました。長年にわたり日本の食卓で親しまれてきたリッツですが、その歴史には大きな変遷があります。

阪神・淡路大震災が発生した後、保存食としての需要が高まったことを受け、5年間保存が可能な缶入りタイプが期間限定で販売されていた時期がありました。現在、ヤマザキビスケットはリッツの代わりに、後継商品である「ルヴァン」の缶入りを販売しています。2017年4月時点では、モンデリーズ・ジャパンからは缶入りのリッツは販売されていません。

ヤマザキナビスコは、親会社であるナビスコとの資本関係がなくなった後も、ナビスコ（後にクラフトフーヅを経てモンデリーズ・インターナショナル）とのライセンス契約に基づきリッツの製造・販売を続けていました。しかし、2016年8月末をもってモンデリーズとのライセンス契約が終了。これにより、2016年9月1日以降、ヤマザキナビスコでのリッツの製造・販売は終了し、同社はヤマザキビスケットと社名を変更しました。

ライセンス契約終了後、日本におけるリッツの製造・販売は、モンデリーズ・インターナショナルの日本法人であるモンデリーズ・ジャパンが引き継ぎました。チーズサンドリッツなども、同様にモンデリーズ・ジャパンから提供されています。かつてヤマザキナビスコが販売していたリッツカスタードサンドは一度製造が終了しましたが、2017年3月にはヤマザキビスケットが「ルヴァン カスタードサンド」として事実上の後継商品を復活させています。

製造拠点も変更されました。ヤマザキナビスコが製造していた頃は日本国内の工場で作られていましたが、モンデリーズ・ジャパンが販売を引き継いでからは、インドネシアのジャカルタ郊外にある工場で製造され、日本へ輸入される形となっています。パッケージデザインも、モンデリーズへの移行に伴い、ヤマザキナビスコ時代のイメージを残しつつも新しいデザインに刷新されました。

栄養情報

標準的なリッツクラッカーの栄養価は、一度に食べる量として想定される約5枚あたりで、熱量79キロカロリー、タンパク質1グラム、脂質4グラム程度です。全粒粉タイプのリッツでは、同じ約5枚あたりで熱量が70キロカロリー、脂質が2.5グラムと、やや低めになります。

日本でのCM出演者

日本のリッツの歴史において、テレビCMには多くの著名人が出演してきました。ヤマザキビスケットが製造・販売を手掛けていた時代（1971年～2016年）には、大原麗子、後藤久美子、北大路欣也、加山雄三、沢口靖子といった俳優などが起用されました。モンデリーズ・ジャパンが販売を引き継いだ2016年以降は、長谷川博己、藤田ニコル、ゆめっち（3時のヒロイン）、Rin音、片岡千之助といった、その時代の人気タレントやアーティストがCMに登場しています。

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