リビアの首相

リビアの首相：変遷と分裂の歴史

リビアにおける政府の長である首相について、1951年の独立以降の歴史を解説します。

役職名の変遷

リビアでは独立後、政府の長の役職名が時代によって変化してきました。

首相 (1951年-1977年)：独立からカダフィ政権成立まで
全国人民委員会書記 (1977年-2011年)：カダフィ政権下
首相 (2011年-)：内戦後

2011年の内戦後の移行期には、リビア国民評議会(NTC)が暫定統治を行いましたが、外務省はNTC執行委員会委員長を首相に相当する役職とみなしていました。

複数政府による分裂

2012年7月の国民議会選挙後、リビアは政治的な混乱期に入ります。

2014年：旧国民議会(GNC)勢力が「救国政府」を発足させ、アブドゥッラー・アッ＝スィニー首相率いる代議院(HoR)との間で二重政府状態が発生。
2016年：ファイズ・サラージを首班とする「国民合意政府」(GNA)が樹立されるも、HoRは承認せず、GNCも再び政府を発足させるなど、三つ巴の様相に。
2021年：国連主導のリビア政治対話フォーラムで暫定統一政府が合意されるも、大統領選挙の延期を受け、HoRが独自に新首相を選出。再び二重政府状態に。

国際的な承認と国内の対立

2021年以降、国際連合は暫定統一政府のドベイバ首相を引き続き承認する立場をとっています。しかし、国内ではHoRが選出した新首相との間で対立が続いており、政治的な安定には至っていません。

2024年8月にはHoRが改めてドベイバ政権の任期終了を確認し、新たな統一政府が選出されるまではハマド政権を正統とみなす決定を下しています。

リビアの首相の歴史は、独立後の政治的な変遷と国内の対立構造を反映しています。統一政府の樹立と安定的な政治体制の確立が、今後の課題となっています。


参考文献
World Statesmen - Libya
rulers.org - Libya

関連項目
* リビアの元首一覧

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