リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ

リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ

概要

リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ（Ribulose-phosphate 3-epimerase）は、EC番号5.1.3.1が付与されている酵素で、生化学反応において重要な役割を担っています。この酵素は、糖類の異性化反応を触媒するエピメラーゼに分類され、その系統名はD-リブロース-5-リン酸 3-エピメラーゼといいます。また、しばしばPPEという略称で呼ばれることもあります。

機能と反応

この酵素の主な働きは、細胞内の主要な代謝経路の一つである還元的ペントースリン酸回路において、D-リブロース-5-リン酸をD-キシルロース-5-リン酸へと変換することです。これは、D-リブロース-5-リン酸の3位の炭素における立体配置を変化させるエピマー化反応であり、以下の化学式で表される可逆的な反応を触媒します。

D-リブロース-5-リン酸 <=> D-キシルロース-5-リン酸

この変換は、還元的ペントースリン酸回路が効率的に機能するために不可欠であり、特に光合成生物における二酸化炭素の固定過程において重要なステップの一つを構成しています。

関与する代謝経路

リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼは、還元的ペントースリン酸回路だけでなく、複数の重要な代謝経路に関与しています。具体的には、エネルギー生産や還元力の供給に関わるペントースリン酸経路、糖の相互変換を行うペントースとグルクロン酸の相互変換経路、そして無機炭素を有機物に変える炭酸固定の経路においても、この酵素が触媒する反応が利用されています。これらの経路における機能を通じて、本酵素は細胞の生存と活動に広範な影響を与えています。

生物における分布

この酵素は、生命の様々な系統で広く見つかっています。細菌、古細菌、菌類、そして植物といった多様な生物において存在が確認されており、それぞれの環境や代謝要求に応じて機能しています。例えば、重金属耐性を持つ細菌として知られるCupriavidus metalliduransでは、この酵素をコードする遺伝子が染色体上とプラスミド上の二箇所に存在することが報告されており、その生態における重要性が示唆されています。

分子の特徴

リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼを構成するタンパク質は、一般的に209から241個程度のアミノ酸残基から構成されています。その特徴的な立体構造として、TIMバレル構造を持っています。これは、βシートが中心を取り囲み、その外側をαヘリックスが囲む円筒状のモチーフであり、多くの酵素に共通して見られる構造です。この構造は、酵素の機能や安定性に深く関わっています。また、研究によって複数の生物種由来のこの酵素の立体構造が解明されており、2007年末時点では、蛋白質構造データバンクに1H1Y、1H1Z、1RPX、1TQJといったコードで登録されています。

まとめ

リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼは、細胞内の糖代謝、特にペントースリン酸回路や炭酸固定経路において中心的な役割を担う異性化酵素です。幅広い生物種に存在し、特徴的なTIMバレル構造を持つこの酵素は、D-リブロース-5-リン酸とD-キシルロース-5-リン酸の相互変換を通じて、細胞のエネルギー代謝や生合成基質の供給に不可欠な働きをしています。

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