リメディアル

リメディアル教育について

リメディアル（Remedial）教育とは、基礎学力に不足がある学生に対し、補修を目的とした教育を提供することを指します。特に大学教育において、この教育形式は、学生が求められる基礎的な学力を補うために行われます。学力の不足は、現在の教育環境の変化や入試制度の多様化によって助長されており、リメディアル教育はこれらの問題を解決するための重要な役割を果たしています。

背景

日本の大学に入学する学生の中には、入試での基準をクリアすることはできたものの、学力が十分でない場合が増えています。この現象の背景には、「ゆとり教育」として知られる教育政策が影響しているとされています。この政策は、1989年から施行されたもので、学習指導要領の改正により、履修必須科目や授業時間が減少しました。その結果、学生の基礎学力が低下し、大学の授業についていけない学生が増加することとなりました。

歴史と発展

リメディアル教育の概念は1996年に広島大学から発刊された『大学のリメディアル教育』という書籍が初めて形にしました。この書籍はリメディアル教育に関する重要な知見を提供し、その後の教育学界における議論を促進しました。さらに2005年には、日本リメディアル教育学会が設立され、リメディアル教育の実施状況や実践的な研究が進められるようになりました。

実施例

日本の大学では、入試において一般入試以外の方式（推薦入試、AO入試など）で早期合格した学生に対して、自宅学習用の教材を提供し、入学前の数ヶ月にわたり自己学習を義務付けることがあります。入学後すぐに、基礎学力を測る試験やアンケートを実施し、必要な学生には「初等○○学」といった名称の科目を履修させることで、高校レベルの内容を補強します。また、高年次に進んだ学生でも、卒業研究や卒業試験に苦しむ場合、特別クラスを設けたり、補講を行ったりします。

海外との比較

リメディアル教育はアメリカでは「Developmental Education」として位置付けられています。この言葉には、学生が次の段階に進むための教育という前向きな意味があります。一方で、「remedial」という用語は、治療的な、修正的な、改善といった消極的なイメージを含むため、両者の間には明確な違いがあります。日本では、リメディアル教育は「補習」や「補講」に起因しており、学生を救済するための重要な施策とされています。

結論

リメディアル教育は、学生の学力向上を目指す重要な教育施策です。基礎学力の不足を補い、大学での学びを支援することは、教育制度全体の質を向上させる意味でも意義深い取り組みです。今後もリメディアル教育の必要性が高まる中で、その実践がますます重要になってくるでしょう。

もう一度検索