リンカーン・ナビゲーター

リンカーン・ナビゲーター：高級SUVの象徴

リンカーン・ナビゲーターは、フォードが製造する高級SUVであり、リンカーンブランドを代表するモデルの一つです。1998年のデビュー以来、アメリカ市場を中心に高い人気を誇り、その存在感と高級感で多くの人々を魅了してきました。

概要

ナビゲーターは、フォード・エクスペディションをベースに開発され、1998年に初代モデルが発売されました。そのデビューは大きな反響を呼び、2001年にはアメリカの大型SUV市場の4割をナビゲーターが占めるほどの大ヒットとなりました。この成功に気を良くしたフォードは、高級ピックアップトラックのブラックウッドや高級ミッドサイズSUVのアビエーターを投入しましたが、いずれも商業的には失敗に終わっています。

歴代モデル

初代 UN173型（1997年 - 2002年）

1997年に1998年モデルとして発売された初代ナビゲーターは、高級SUVとしてフル装備が施されていました。運転席エアバッグは標準装備、助手席エアバッグはオプションでした。ABS、4WD、3列シート、オートドライブ、ヒーター付き本革シートなども装備されていました。ただし、サンルーフはオプションで、キセノンヘッドライトは装備されていませんでした。

ダッシュボードやセンターコンソールは曲面で構成され、当時のアメリカ製SUVに共通する流麗なデザインが特徴です。ステアリングはウッドとレザーのコンビハンドルで、各種スイッチが備わっていました。オーディオはCDプレーヤー付きでしたが、日本国内向けには社外製のオーディオが装着されていました。シートは1列目後部に蓋付きと網の2種類のポケットがあり、2列目はキャプテンシート仕様とベンチシート仕様がありました。3列目シートは取り外し可能で、ヒーター付きのソファのような形状でした。トランスミッションは4速コラムATで、アルミホイールは17インチの5本スポークでした。バックドアは、窓のみの開閉も可能でした。

V8エンジンは縦置きに搭載され、フルタイム四輪駆動でした。サスペンションはフロントがトーションバースプリング、リアが固定軸エアスプリング方式でした。1999年にはマイナーチェンジが行われ、V8 DOHCエンジンとなり出力が向上、アルミホイールが6本スポークに変更されました。

2代目 U228型（2002年 - 2006年）

2003年に登場した2代目ナビゲーターは、外観が大幅に変更され、ライトやグリルが大型化されました。内装も直線基調のデザインに変更され、シルバー塗装のアクセントが加えられました。ステアリングは4本スポークとなり、メーターは自発光式、シートはエアシートが採用されました。3列目シートは電動で、バックドアもパワーゲート付きになりました。トランスミッションは4速フロアATに変更され、スポーティな仕様になりました。純正アルミホイールは8本スポークです。

2004年には電子制御のロールスタビリティコントロールが追加され、2005年にはマイナーチェンジが行われました。外装はフォグランプが角型になり、エンジンは5.4L V8 SOHC3バルブに換装、トランスミッションは6速ATになりました。内装もATシフトレバーがT字型になり、シフトブーツが廃止されました。北米ではDVDナビシステムやTHXオーディオシステムが追加されました。日本ではアルティメイトグレードが多く流通しています。

3代目 U326型（2006年 - 2017年）

2006年に発表された3代目ナビゲーターは、シャシーが11代目F150/250のものとなり剛性が向上しました。ロングホイールベース版の「ナビゲーターL」が追加されました。外観はMKZで導入された新スタイルとなり、フロント回りが大幅に変更されました。内装も一新され、ドア内張りにはライトウッドパネルが貼られました。3列目シートの電動収納操作が変更されました。オーディオは14スピーカー付き、アロイホイールはメッキ仕上げの14本スポークとなりました。

四輪駆動システムは電子制御多板クラッチ式のコントロールトラックを採用し、トランスミッションは6速フロアATでした。エンジンは5.4L V型8気筒SOHC3バルブで、最高出力224kW（304PS）を発揮しました。2014年にはフェイスリフトを受け、エンジンが3.5L V型6気筒「エコブースト」直噴ツインターボに換装されました。これにより出力が向上し、燃費も改善しました。

4代目 U554型（2017年 -）

2016年にコンセプトカーが公開され、2017年に4代目モデルが発表されました。エクスペディションとF-150が姉妹車で、標準モデルとロングホイールベースモデルが設定されました。車体はスチール製ラダーフレームとアルミニウム製ボディで構成され、軽量化と高剛性を実現しました。スタイリングは2017年型リンカーン・コンチネンタルのデザインを取り入れ、エクステリアに大きな変化が見られました。

シャシーにはフォードT3プラットフォームが採用され、エンジンは450馬力のツインターボ3.5LエコブーストV6を搭載、10速ATが組み合わされました。ボディはアルミ構造となり、軽量化が図られました。ダッシュボードにはボタン式のシフトとパドルシフトが採用され、12インチの再構成可能なインストルメントクラスターやヘッドアップディスプレイが装備されました。

グレードは「プレミア」「セレクト」「リザーブ」があり、「ブラックレーベル」シリーズも設定されました。ブラックレーベルシリーズは内装や外装が特別にコーディネートされたもので、「シャレー」「デステネーション」「ヨット・クラブ」の3つのテーマがあります。

将来の計画

リンカーンは、電気自動車のナビゲーターの開発を進めており、将来の電動化を見据えた動きも進んでいます。

受賞

2018年、リンカーン・ナビゲーターは北米国際オートショーでトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。リンカーン車として初の受賞であり、このセグメントのアメリカ製高級SUVとしても初の快挙となりました。

日本における販売

ナビゲーターは当初、正規輸入されておらず、並行輸入車のみが販売されていました。しかし、2008年5月21日にフォード・ジャパン・リミテッドが3代目モデルの正規輸入を開始しました。

並行輸入車は、北米仕様や南米仕様など出所不明なものも多く、維持管理には専門的な知識が必要です。

関連項目

フォード・エクスペディション
フォード・F-150
キャデラック・エスカレード

外部リンク

公式ウェブサイト（英語）

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