リンカーン伯爵

リンカーン伯爵について



リンカーン伯爵(Earl of Lincoln)は、イングランド貴族の爵位であり、その歴史は複雑で、過去に複数回創設されています。現在まで存続しているのは8期目にあたるリンカーン伯爵位で、1572年に9代クリントン男爵エドワード・クリントンが叙爵されたことに始まります。

リンカーン伯爵位の変遷



リンカーン伯爵位は、その創設以来、様々な家系によって継承されてきました。特に重要なのは、18世紀にニューカッスル公爵位との関係が生じたことです。1768年、9代リンカーン伯ヘンリー・ペラム=クリントンが、伯父トマス・ペラム=ホリスからニューカッスル公爵位を継承し、これにより家名を「ペラム=クリントン」と改めました。以降、リンカーン伯爵位はニューカッスル公爵位の従属爵位として、ペラム=クリントン家によって継承されることになります。

しかし、1988年ニューカッスル公爵位は継承者が途絶え、廃絶しました。一方で、リンカーン伯爵位は2代リンカーン伯まで遡る分流であるファインズ=クリントン家によって継承され、現在に至ります。

リンカーン伯爵の各期



リンカーン伯爵位は、以下の8期にわたって創設されています。

第1期(1143年)


初代リンカーン伯:ウィリアム・ド・オービニー(1109年頃 - 1176年)

第2期(1143年以降)


初代リンカーン伯:ウィリアム・ド・ルマール(1096年 - 1155年) - この後、王領に戻る

第3期(1149年頃)


初代リンカーン伯:ギルバート・ド・ガント(1120年 - 1156年) - この後、王領に戻る

第4期(1217年)


初代リンカーン伯:ラナルフ・ド・ブロンデヴィル(1172年 - 1232年)(1217年 - 1231年)
初代リンカーン女伯爵:ハヴィス・オブ・チェスター(1180年 - 1242年頃)(1231年4月、生前贈与として受ける)
第2代リンカーン伯:ジョン・ド・レイシー(1192年 - 1240年)(1232年 - 1240年、妻の権利を共同で保有)
第2代リンカーン女伯爵:マーガレット・ド・クインシー(1206年頃 - 1266年)(1232年11月23日、生前贈与として受ける)
第3代リンカーン伯:ヘンリー・ド・レイシー(1251年 - 1311年)(1272年 - 1311年、1266年から1272年までは母アリス・オブ・サルッツォが後見人として伯爵領を管理)
第4代リンカーン伯爵:アリス・ド・レイシー(1281年 - 1348年)(第5代ソールズベリー女伯、後継者なく王領へ返還)

第5期(1349年)


ランカスター公の項目を参照

第6期(1467年)


初代リンカーン伯爵:ジョン・ド・ラ・ポール(1462年 - 1487年)

第7期(1525年)


初代リンカーン伯爵:ヘンリー・ブランドン(1516年 - 1534年)

第8期(1572年


初代リンカーン伯:エドワード・クリントン(1512年 - 1585年)
第2代リンカーン伯:ヘンリー・クリントン(1539年 - 1616年)
第3代リンカーン伯:トマス・クリントン(1568年 - 1619年)
第4代リンカーン伯:シオフィラス・クリントン(1600年 - 1667年)
第5代リンカーン伯:エドワード・クリントン(生年不明 - 1692年)
第6代リンカーン伯:フランシス・クリントン(1635年 - 1693年)
第7代リンカーン伯:ヘンリー・クリントン(1684年 - 1728年)
第8代リンカーン伯:ジョージ・クリントン(1718年 - 1730年)
第9代リンカーン伯/第2代ニューカッスル公:ヘンリー・ファインズ・ペラム=クリントン(1720年 - 1794年) - 伯父トマス・ペラム=ホリスからニューカッスル=アンダー=ライン公爵位を継承
第10代リンカーン伯/第3代ニューカッスル公:トマス・ペラム=クリントン(1752年 - 1795年)
第11代リンカーン伯/第4代ニューカッスル公:ヘンリー・ペラム・ファインズ・ペラム=クリントン(1785年 - 1851年)
第12代リンカーン伯/第5代ニューカッスル公:ヘンリー・ペラム・ファインズ・ペラム=クリントン(1811年 - 1864年)
第13代リンカーン伯/第6代ニューカッスル公:ヘンリー・ペラム・アレグザンダー・ペラム=クリントン(1834年 - 1879年)
第14代リンカーン伯/第7代ニューカッスル公:ヘンリー・ペラム・アーチボルド・ダグラス・ペラム=クリントン(1864年 - 1928年)
第15代リンカーン伯/第8代ニューカッスル公:ヘンリー・フランシス・ホープ・ペラム=クリントン=ホープ(1866年 - 1941年)
第16代リンカーン伯/第9代ニューカッスル公:ヘンリー・エドワード・ヒュー・ペラム=クリントン=ホープ(1907年 - 1988年
第17代リンカーン伯/第10代ニューカッスル公:エドワード・チャールズ・ペラム=クリントン(1920年 - 1988年)- ニューカッスル=アンダー=ライン公爵位廃絶
第18代リンカーン伯:エドワード・ホレイス・ファインズ=クリントン(1913年 - 2001年) - 10代ニューカッスル公の十従兄弟
* 第19代リンカーン伯:ロバート・エドワード・ファインズ=クリントン(1972年 - )

現在のリンカーン伯爵



現在のリンカーン伯爵は、ロバート・エドワード・ファインズ=クリントンです。法定推定相続人はおらず、推定相続人としては、現当主の弟であるウィリアム・ロイ・ハウソン(1980年 - )がいます。彼は1996年に政府の許可を得てハウソンに改姓しており、彼と彼の息子ジョーダン・ライダー・ハウソン(2004年 - )が継承可能な人物とされています。

このように、リンカーン伯爵位は複雑な歴史と、様々な家系との関わりを経て、現在に至っています。

家系図



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