リンカーン地球近傍小惑星探査

リンカーン地球近傍小惑星探査プロジェクト (LINEAR)

リンカーン地球近傍小惑星探査 (LINEAR) は、アメリカ空軍、NASA、マサチューセッツ工科大学が協力して行う地球近傍小惑星の発見と追跡を目的としたプロジェクトです。このプログラムは1996年に始まり、特に1998年以降に発見された数多くの小惑星の中で、ほぼ全てがLINEARによるものです。これまでに、リモートテレスコープを使用して21万1849個の新しい天体を検出。その中には1622個の地球近傍小惑星や142個の彗星も含まれています。

プロジェクトの歴史

LINEARの起源は1972年に遡ります。1980年代にはニューメキシコ州に実験システムの原型が構築され、1996年に1メートル口径の望遠鏡を用いて本格的に探査を開始しました。この望遠鏡は地上に設置された電子光学式の深宇宙探査装置であり、宇宙機の光学的観測用として設計されています。探査地点はニューメキシコ州ソコロ郡のホワイトサンズミサイル射場内にあり、収集されたデータはマサチューセッツ州レキシントンのハンスコム空軍基地のリンカーン研究所で処理されます。

1997年の春には実地試験が行われ、当初は1024×1024ピクセルのCCDイメージセンサーを使用していました。このセンサーでは約1/5の視野しかカバーできませんでしたが、4つのNEOを発見することに成功しました。同年10月にはより高解像度の1960×2560ピクセルのセンサーを用い、さらに多数のNEOを発見しました。1999年には2基目の1メートル望遠鏡が加わり、探査能力が強化されました。

現在LINEARの望遠鏡は、一晩に空の各区画を五回観測し、多くのNEOが存在するとされる黄道面に重点的に探査を行っています。CCDの高感度と迅速な出力のおかげで、毎晩広範囲をカバーし、多くの新しい天体を発見しています。

主な業績と発見

LINEARは、2006年6月時点で小惑星番号が登録された小惑星のうち、特に6万7820個を発見しました。また、いくつかの周期彗星の発見や共同発見も行っており、なかには「はやぶさ2」に関連する彗星もあります。具体的には、11P/テンペル・スイフト・LINEAR彗星、146P/シューメーカー・LINEAR彗星、148P/アンダーソン・LINEAR彗星などがあります。

はやぶさ2プロジェクトとの関わり

「はやぶさ2」プロジェクトでは、LINEARが1999年に発見した小惑星1999 JU3を探査対象として提案しました。2013年には、この小惑星の名称を「リュウグウ」として提案し、2015年には正式に国際天文学連合に命名申請が行われました。結果として、この小惑星はRyugu（162173）として認識されることになりました。

まとめ

LINEARプロジェクトは、地球近傍小惑星の探査において極めて重要な役割を果たしています。数多くの新しい天体を発見し、宇宙の理解を深めるための貴重なデータを提供しています。主な研究者にはグラント・ストークスを中心に、ジェニファー・エヴァンスやエリック・ピアスが名を連ねています。今後の探査も期待される注目のプロジェクトです。

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