リングワールドふたたび

『リングワールドふたたび』

『リングワールドふたたび』（The Ringworld Engineers）は、1980年にラリー・ニーヴンによって発表されたSF小説であり、前作『リングワールド』の続編です。日本語訳は小隅黎が手掛け、早川書房より出版されています。この作品は、ファンからの熱い反響を受けて創り出されたもので、前作の成功に加え、未解決な工学上の疑問に対する興味がその背景にあります。

ニーヴンは、この続編を書いた理由として、前作における多くの工学的な問題を明らかにしたいというファンの期待があったことを挙げています。特に、リングワールドという剛体構造が恒星の軌道からズレてしまい、その結果、恒星に衝突してしまう可能性については、1971年に開催されたワールドサイエンスフィクションコンベンションでの提起が影響しています。あるMITの学生が、「リングワールドは不安定だ！」と指摘したことが、ニーヴンにとって大きな啟発となり、その問題に対処することが彼の創作への動機となりました。

あらすじ

物語は、ノウンスペースに戻ってから23年後の時点から始まります。主人公ルイス・ウーは、惑星キャニヨンで静かに生活をしていましたが、再びパペッティア人に誘拐されるという事件に巻き込まれます。彼らの指導者である「至後者（ハインドモースト）」はかつて、ルイスやネサスをリングワールドに調査させるために送り込んだ張本人です。しかし、政権交代によって地位を失った彼は、再起を果たすために自らがリングワールドに赴こうと決意します。その際に、クジン人のハミイーも同伴することになり、彼は新型ハイパードライヴを手に入れたことで正式な名を得た「獣への話し手（スピーカー・トゥ・アニマルズ）」として知られています。

リングワールドに到着後、彼らは緊迫した状況に直面します。リングワールドは回転軸がずれ始め、中心の恒星と接触するまでの時間が1年を切ったという危機的な状況だったのです。探査中、ルイスは様々な種族と出会い、彼らを救うために「補修センター」を探すことを決意します。

物語は、リングワールドに生息する多様な亜人類との交流を通じて、ルイスの成長と新たな挑戦を描いています。それぞれの種族が異なる文化や価値観を持ち、彼らとの出会いがルイスにどのような影響を与えるのか、また、リングワールドの未来がどうなるかが焦点となります。エンジニアリング的な課題に哲学的な問いを絡めながら進行するストーリーは、読者に深い思索を促す一方で、SFとしての魅力も十二分に味わわせてくれます。

この作品は、スリリングな冒険譚であると同時に、人間性や技術、そして運命の不確実性について考えさせられる内容となっています。ニーヴンの豊かな想像力が光る作品であり、SFファン必見の一冊となっています。

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