リング綴じ

リング綴じは、製本方法の一種であり、その特徴的な構造から、使いやすさと機能性を兼ね備えています。

発明と構造

1934年、イギリス人のジェームス・バーンによって発明されました。この製本方法は、まず、ナイロンで皮膜された鉄線やスズメッキを施した鉄線を、櫛のような形状に加工することから始まります。次に、この櫛の歯の間隔に合わせて、製本したい紙に穴を開けます。そして、開けた穴に櫛状の鉄線を通し、圧力を加えて櫛を丸く成形することで、紙が鉄線から外れないように固定します。この加工によって、最終的に丸いリング状の綴じとなります。

このリング状の綴じは、櫛の歯一つ一つが2本の鉄線で構成されているため、「ダブルリング綴じ」または「ツインワイヤ綴じ」とも呼ばれます。

ピッチの種類と規格

櫛状に加工された鉄線は、長らく英国のジェームス・バーン・インターナショナル社が独占的に供給していました。しかし、現在では世界各国に同様のメーカーが存在します。

リング綴じのピッチには、1インチあたり3つの歯がある「3:1ピッチ（8.47ミリピッチ）」と、2つある「2:1ピッチ」の2種類が一般的で、通常は3:1ピッチが使用されます。ただし、日本では、東京の笹岡工業が独自に櫛の歯の間隔を9.5ミリに設定したものを製造販売したため、9.5ミリピッチが標準規格となっています。

用途と利点

リング綴じは、道路地図や写真集、カレンダー、スケッチブック、ノートなど、幅広い用途で利用されています。他の製本方法との最大の違いは、綴じたものを開いた際に完全に平らな状態になる点です。この特徴により、見たいページ以外を後ろに回すことができ、特にスケッチブックやノートでは、筆記時に非常に便利です。また、紙に穴を開ける機能とリングを綴じる機能を備えた卓上製本機があれば、誰でも簡単に製本できる点も魅力です。

シングルワイヤ綴じ

リング綴じには、ダブルワイヤ綴じの他に、シングルワイヤで綴じる方式も存在します。この方式は、ダブルワイヤに比べてシンプルな構造で、コストを抑えることができるという利点があります。

リング綴じは、その構造と機能性から、様々な場面で活躍する製本方法と言えるでしょう。

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