リー (ジーンズ)

Lee（リー）

Leeは、1889年にアメリカ合衆国カンザス州サライナにおいて、H.D.リー・マーカンタイル・カンパニーとして設立されたのが始まりです。当初は食品や雑貨を扱う卸売業者として事業を展開していました。

デニムブランドへの変遷

創業から約20年後の1911年、同社は自社で衣料工場を立ち上げ、デニム素材を用いた製品の製造に着手します。これが後に世界的なジーンズブランドとなるLeeの大きな転換点でした。この時期に製造された丈夫な作業用パンツ、ダンガリーズは、後の「リー・ライダース」の原型となります。

リーならではのデザイン

Leeのジーンズには、他の一般的なジーンズブランドとは異なる独自の意匠が見られます。特にバックポケットの形状は特徴的で、一般的なジーンズのバックポケットが将棋の駒を天地逆にしたような角ばった形をしているのに対し、Leeの多くのモデルではバックポケットの下部が丸みを帯びています。

また、バックポケットに施された特徴的なステッチは「レイジーS」と呼ばれています。このS字型のステッチについては、馬の口を横から見た形に由来するという説が有力視されており、ブランドのアイコンの一つとなっています。

日本における展開

日本市場においては、1987年以降、商品の開発、製造、そして販売に関する権利は全て株式会社エドウインに移行しました。これにより、日本国内で流通するLee製品の多くはエドウインが手掛けています。一方で、Wrangler（ラングラー）などのライセンス事業については、リー・ジャパン株式会社が引き続き所有・展開しています。なお、アメリカ本国で製造されたLee製品については、日本では輸入衣料品店などを通さない限り、新品を入手することは難しいのが現状です。

事業の多様化

近年、ジーンズメーカーが肌着メーカーと提携し、インナーウェア製品を手がけるケースが増加傾向にあります。Leeも例外ではなく、ボクサーブリーフやトランクス、Tシャツといった様々なインナーウェアを展開するなど、商品ラインナップを多様化させています。

ジェームズ・ディーンの愛用

Leeは、アメリカの伝説的俳優であるジェームズ・ディーンが愛用していたブランドとしても非常に有名です。特に、彼の代表作である映画『理由なき反抗』（Rebel Without a Cause）と『ジャイアンツ』（Giant）の二作品では、Leeの「ライダースLOT101Z」を着用して出演しています。これは、Leeのジーンズが若者文化や反骨精神のシンボルとされる一因となりました。

ジェームズ・ディーンとジーンズに関する補足

ちなみに、ジェームズ・ディーンがLevi's（リーバイス）のジーンズを穿いていたという説には異論もあり、彼がリーバイス製品を着用している写真が残されていないという見方もあります。しかしながら、彼の友人でもあった写真家のロイ・シャットによる写真集『ジェームスディーン写真集』の中には、リーバイスのアイコンとも言えるアーキュエット・ステッチがあしらわれたバックポケットを持つジーンズを穿いた、彼の私生活での姿が収められている写真も存在します。このことから、彼が特定のブランドだけでなく、複数のジーンズを愛用していた可能性も示唆されます。

長い歴史を持ち、特徴的なデザインと文化的な影響力を持つLeeは、現在も世界中で多くのファンに支持されています。

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