リージョン (イングランド)

イングランド地方行政区分におけるリージョンは、1994年にメージャー政権下で制定された、イングランドを分割する地方行政単位でした。当初は、マージーサイド統計地域を含む10のリージョンが存在していましたが、1998年にはイングランド北西部と合併し、9リージョンとなりました。

それぞれのリージョンには、地域開発公社（RDA）が設置され、地方経済の活性化や地域開発を担っていました。リージョン議会は、大ロンドンは直接選挙、それ以外のリージョンは間接選挙によって構成されていました。しかし、2008年から2009年にかけて、いくつかのリージョン議会は廃止されました。

リージョンの設置は、イングランドの地方分権化を進める上で重要な施策でした。しかし、実際には、リージョン政府の権限は限定的で、中央政府の影響力が強いという課題がありました。地方自治体と中央政府との権限分担や、財政的な問題などが、リージョン制度の運営を複雑化させていたのです。

これらの課題を背景に、2011年にはリージョンは廃止され、その後は統計目的の地域区分としてのみ利用されることになりました。これは、リージョン制度が当初の目的を十分に果たせなかったこと、そして、地方行政の効率性向上のための方策が見直された結果でした。

廃止された後も、リージョンはイングランドの地理的区分としての役割を果たしており、様々な統計データや地域分析において重要な役割を担っています。各リージョンは、明確な地理的境界を持ち、独自の地理的特徴や歴史的背景、文化的な特性を有しています。

現在、統計目的で使用されているリージョンの名称は以下の通りです。

イースト・オブ・イングランド
イースト・ミッドランズ
グレーター・ロンドン
ノース・イースト・イングランド
ノース・ウェスト・イングランド
サウス・イースト・イングランド
サウス・ウェスト・イングランド
ウェスト・ミッドランズ
* ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー

これらのリージョンは、人口統計、経済活動、社会状況など様々な統計データの分析に用いられ、イングランド全体の状況把握に貢献しています。また、地域計画や政策立案においても重要な参照情報として利用されています。リージョン廃止後も、統計目的での継続利用は、イングランドの地方行政制度におけるリージョンの歴史的役割と、地域分析における重要性を示すものと言えるでしょう。

もう一度検索