リーズ国際ピアノ・コンクール

リーズ国際ピアノコンクール（The Leeds International Pianoforte Competition）は、英国イングランド北部に位置する都市、リーズを舞台に開催される、世界的に権威ある国際ピアノコンクールです。クラシック音楽界において、若手ピアニストのキャリアを築く上で重要な登竜門の一つとされています。

このコンクールの歴史は、1961年にピアニストのファニー・ウォーターマンとマリオン・ソープによって創設されたことに始まります。最初のコンクールは1963年に開催され、以来、原則として3年ごとに継続して開催されています。開催地は一貫してウェスト・ヨークシャー州のリーズです。その長い歴史の中で、リーズ国際ピアノコンクールは、ラドゥ・ルプー、マレイ・ペライア、内田光子、小川典子といった、現代音楽史に名を刻む数多くの偉大なピアニストたちを世に送り出してきました。これらの著名な音楽家たちが、若き日にこの舞台で才能を示したことは、コンクールの高い権威と重要性を示しています。

コンクールの特徴として、かつては極めて高度で広範なレパートリーを出場者に要求する、非常に挑戦的な大会として知られていました。これは、しばしばヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールと比較されるほどの厳しさでした。しかし、21世紀に入ると、出場者の負担を考慮し、この要求水準は段階的に緩和される傾向にあります。一方で、2015年の開催時には、一部からそのレベルに関する批判的な意見も聞かれました。

近年における最大の転換点は、コンクールの創設者の一人であり、長年にわたりコンクールを牽引してきたファニー・ウォーターマン女史が引退した2018年でした。この出来事を契機に、リーズ国際ピアノコンクールは大規模な改革を実施しました。コンクールの規定全般が見直され、審査員の構成も刷新され、より若手中心の国際色豊かな顔ぶれとなりました。また、新たなスポンサーの獲得に伴い、特別賞としてアウンサンスーチー・グランドメダルの授与が行われるなど、様々な変更が加えられました。改革の一環として、かつて全盛期に比べて非常に膨大だった課題曲の量は、約3分の2にまで削減されました。ファイナリストの人数も、以前より少なく、5名に固定されました。さらに、ウォーターマン女史が長きにわたり務めた審査委員長の役割は、今後は開催ごとに異なる国際的な音楽家や教育者が担当する方針が取られています。これらの改革は、コンクールを現代の音楽界のニーズに合わせ、新たな時代に対応させようとする試みと言えます。

歴代の優勝者には、第1回優勝者のマイケル・ロールをはじめ、ラドゥ・ルプー、マレイ・ペライア、イリヤ・イティン、エリック・ルーらが名を連ねています。また、優勝には至らなくとも、内田光子（1975年第2位）、アンドラーシュ・シフ（1975年第3位）、小川典子（1987年第3位）といった日本人を含む著名な入賞者も多数輩出しており、コンクールのレベルの高さを物語っています。

リーズ国際ピアノコンクールは、その格式高い歴史と、常に時代の変化に対応しようとする姿勢をもって、世界の若手ピアニストにとって重要な目標であり続けています。

もう一度検索