ルイス・コンテ

ルイス・コンテ（Luis Conte）

キューバ生まれ（1954年11月16日）のルイス・コンテは、世界的に高く評価されるパーカッショニストです。ソロアーティストとして活動する傍ら、セッションミュージシャンとしても驚くほど多くの著名なアーティストたちと共演し、そのキャリアは多岐にわたります。また、楽器メーカーであるマイネル社やジルジャン社からは、自身の名を冠したシグニチャーモデルの楽器も多数リリースされています。

初期キャリアと渡米

コンテはキューバで幼少期を過ごし、音楽への道を歩み始めました。最初に手に取ったのはギターでしたが、間もなくパーカッションの魅力に取り憑かれ、それが彼の主要な楽器となります。1967年、彼はキューバ軍での兵役を避けるため、両親によってアメリカ、ロサンゼルスへと送られました。当時、ロサンゼルスの音楽シーンは非常に活気に満ちており、この地への移住は彼の人生における大きな転機となります。彼はこの地でロサンゼルス・シティー・カレッジにて音楽の学びを深めました。

プロとしての躍進

その音楽的才能は早くから開花し、1973年には既にロサンゼルスのローカルクラブで定期的に演奏するようになります。瞬く間に引く手あまたのスタジオミュージシャンとなり、1970年代を通じてはラテンジャズグループ、カルデラ（Caldera）の一員としても活動しました。この頃から、彼の幅広い音楽性に対する評価が高まっていきます。

セッションワークとツアー

1980年代に入ると、コンテはマドンナ、ギタリストのアル・ディ・メオラ、アンディ・ナレルといった様々なジャンルのアーティストとのツアーに参加し、その活動範囲を広げます。また、自身のリーダーとしてのキャリアもスタートさせ、1987年にはデビューアルバム『ラ・コシナ・カリエンテ』を発表しました。このアルバムには、ショパンの楽曲をラテンアレンジした異色のトラックも収録されています。

コンテは、ジェームス・テイラー率いる「Band of Legends」のメンバーとしてツアーに参加したり、アレックス・アクーニャ、ジャガーレス、ラリー・クリマス、デヴィッド・ガーフィールドといった著名なミュージシャンたちのサイドマンとしても活躍しました。特にフィル・コリンズとの関係は深く、1997年の「ダンス・イントゥ・ザ・ライト」ツアーや2004年の「ファースト・フェアウェル・ツアー」に帯同し、アフロ・キューバンパーカッションでそのサウンドに彩りを添えました。さらに、1996年と1998年のフィル・コリンズ・ビッグ・バンド・ツアー、そして近年では「ノット・デッド・イエット・ツアー2017/2018」にも参加するなど、長年にわたりコリンズの音楽を支えています。その他にも、パット・メセニー・グループのアルバム『ウィ・リヴ・ヒア』（1995年）やパット・メセニーの『フロム・ディス・プレイス』（2020年）、アイ・マザー・アースの初期2作品など、数多くの重要作品でそのパーカッションを聴くことができます。

受賞歴と評価

コンテの卓越した技術と音楽性は、業界誌でも高く評価されています。彼は「Modern Drummer Reader's Poll」で2009年と2010年に「Percussionist of the Year」を受賞し、「Drum Magazine」でも2007年から2009年にかけて3年連続で「Percussionist of the Year」と「Studio Percussionist of the Year」の栄誉に輝いています。これらの受賞は、彼のパーカッション界における地位の確立を示すものです。

主なリーダーアルバム

ルイス・コンテは、自身のリーダーとしても以下のアルバムをリリースしています。

『ラ・コシナ・カリエンテ』 (La cocina caliente) (1987年、Denon)
『ブラック・フォレスト』 (Black Forest) (1989年、Denon)
『ザ・ロード』 (The Road) (1995年、Weber Works)
Cuban Dreams (2000年、Unitone Recordings)
Marímbula (2007年)
En casa de Luis (2011年、BFM Jazz)

その類稀なる才能と柔軟性で、ルイス・コンテは今なお世界の音楽シーンに貢献し続けています。

もう一度検索