ルイーゼ・フォン・エスターライヒ＝トスカーナ

ルイーゼ・フォン・エスターライヒ＝トスカーナ：波乱の生涯

ルイーゼ・フォン・エスターライヒ＝トスカーナ（1870年12月2日 - 1947年3月23日）は、ハプスブルク＝トスカーナ家出身の大公女として生まれました。彼女は、最後のザクセン王となるフリードリヒ・アウグスト3世の妃となりましたが、夫が王位に就く前年に離婚したため、王妃となることはありませんでした。彼女の生涯は、スキャンダルと波乱に満ちていました。

生い立ちと結婚

ルイーゼは、トスカーナ大公フェルディナンド4世とその2番目の妻であるブルボン＝パルマ公女アリーチェの娘として生まれました。彼女は、「オーストリアの皇女にして大公女、ハンガリーおよびボヘミアの王女、トスカーナ大公女」の称号を有していました。

1891年、ルイーゼはザクセン王太子フリードリヒ・アウグストと結婚し、7人の子供をもうけました。ザクセン王国では国民の人気を集めましたが、宮廷の儀礼作法に疎く、舅であるゲオルク王から厳しく責められるようになりました。

出奔と離婚

1902年、ルイーゼはゲオルク王から精神病院への監禁をほのめかされ、兄レオポルトの助けを借りてドレスデン宮廷から出奔しました。彼女は6人の子供たちを置いていくことになりましたが、当時妊娠していた7番目の子供アンナを身ごもっていました。出奔後、ルイーゼは子供たちの家庭教師だったフランス人アンドレ・ジロンと行動を共にしたため、アンナの父親はジロンであるという噂が流れました。

1903年、ルイーゼとフリードリヒ・アウグスト王太子の婚姻は解消されました。ハプスブルク＝ロートリンゲン家の家長であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、ルイーゼの離婚を承認しませんでした。

再婚とその後

1907年、ルイーゼはイタリア人音楽家エンリコ・トセッリと再婚し、息子を1人もうけましたが、1912年に離婚しました。再婚後、彼女はフランツ・ヨーゼフ1世皇帝によってオーストリア皇族としての身分と称号を剥奪されました。父フェルディナンド4世は、ルイーゼをモンティニョーゾ伯爵夫人に叙しました。出奔後に産んだ娘アンナは、ドレスデンに送られ、ザクセン王家の一員として育てられました。

1911年、ルイーゼは回想録を出版し、ゲオルク王とその側近によって宮廷を追われた経緯を明らかにしました。彼女は、王妃となることで官職を失うことを恐れた政治家たちが、王を操って自分を追い落としたと主張しました。

1918年にハプスブルク家が帝位を追われると、ルイーゼは「ディセット伯爵夫人」を名乗るようになりました。最初の夫フリードリヒ・アウグスト3世も王位を追われましたが、カトリック教会の宗教婚の見地からルイーゼとの離婚を認めず、再婚することはありませんでした。ルイーゼは1947年にブリュッセルで亡くなりました。

子女

最初の夫フリードリヒ・アウグスト3世との間には7人の子女が、2番目の夫エンリコ・トセッリとの間には1人の息子がいました。

フリードリヒ・アウグスト・ゲオルク・フェルディナント・アルブレヒト・カール・アントン・パウル・マルツェルス （1893年 - 1943年） - 王太子
フリードリヒ・クリスティアン・アルベルト・レオポルト・アンノ・ジルフェスター・マカリウス （1893年 - 1968年） - ザクセン王家家長
エルンスト・ハインリヒ・フェルディナント・フランツ・ヨーゼフ・オットー・マリア・メルキアデス （1896年 - 1971年）
マリア・アリックス・カロラ （1898年）
マルガレーテ・カロラ・ヴィルヘルミーネ・ヴィクトリア・アーデルハイト・アルベルティーネ・ペトルザ・ベルトラン・パウラ （1900年 - 1962年） - ホーエンツォレルン＝ジグマリンゲン侯フリードリヒ妃
マリア・アリックス・ルイトポルダ・アンナ・ヘンリエッテ・ゲルマナ・アグネス・ダミアナ・ミヒャエラ （1901年 - 1990年） - ホーエンツォレルン＝ジグマリンゲン侯子フランツ・ヨーゼフ妃
アンナ・モニカ・ピア （1903年 - 1976年） - オーストリア大公ヨーゼフ・フランツ妃
カルロ・エマヌエーレ・トセリ （1908年 - 1969年）

参考文献

Louise of Tuscany, Former Crown Princess of Saxony, My own Story, London 1911
Erika Bestenreiner, Luise von Toskana, Piper 2006

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