ルス・マリナ・スールアガ

ルス・マリナ・スールアガ（Luz Marina Zuluaga）は、コロンビアのファッションモデルであり、同国で初めてミス・ユニバース世界大会において優勝を果たした人物です。1938年 10月31日に生まれ、2015年 12月2日に77歳でその生涯を終えました。画家であるアントニオ・スールアガはいとこにあたります。

生い立ちと初期のキャリア

彼女はリサラルダ県ペレイラにて、フランシスコ・スールアガとマルガリータ・スールアガの間に、ルス・マリナ・スールアガ・スールアガとして誕生しました。幼い頃にカルダス県マニサレスに移り、この地で少女時代を過ごしました。美しさと才能を兼ね備えた彼女は、地元で開催されたミス・コンテストに挑戦します。

1957年 10月12日、彼女は「セニョリータ・カルダス」に出場し、見事優勝を果たしました。さらに同年の「ミス・コロンビア1957」では準優勝の成績を収めます。この時の優勝者はドリナ・イネス・ヒル・サンタマリアでしたが、彼女がミス・ユニバース世界大会の開催前に結婚したため、大会規定により出場資格を失いました。これにより、準優勝であったルス・マリナ・スールアガがコロンビア代表として世界大会に派遣されることになります。

ミス・ユニバース世界大会での栄冠

1958年 7月25日、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロングビーチで開催された第7回ミス・ユニバース世界大会において、ルス・マリナ・スールアガはコロンビア代表として出場し、見事に優勝を勝ち取りました。これはコロンビア史上初の快挙であり、祖国に大きな喜びと希望をもたらしました。当時のコロンビア唯一のテレビ局と多くのラジオ局は、彼女の優勝を速報として国民に伝えました。

帰国と国民的歓迎

世界大会での優勝後、彼女はすぐには帰国できませんでした。当時のコロンビアは軍事政権が成立した直後で政情が不安定であり、大会主催者側のセキュリティ担当者が彼女の安全を考慮し、帰国を保留させたのです。最終的に帰国が実現すると、当時の軍事政権を含む国民各層から熱狂的な大歓迎を受けました。彼女の家庭があまり裕福でないことが広く知られると、故郷マニサレスの多くの市民が自発的に寄付を行い、それによって彼女は自宅を建て替えることができたと伝えられています。

歴史に刻まれた功績

ルス・マリナ・スールアガの功績は、後世にも記憶される形となりました。1959年には、彼女の肖像をデザインした記念切手が発行されました。これは、コロンビアの歴史において、存命中の人物の肖像が切手として発行された最初の例であり、彼女がいかに国民に愛され、その存在が重要視されていたかを示しています。

私生活と晩年

私生活では、1966年に耳鼻科医のエンリケ・ベレス氏と結婚しました。二人の間には一人の子供が生まれますが、後に一家はアメリカ合衆国に移住し、そこでさらに三人の子供をもうけました。合計で四人の子供を育てた彼女ですが、娘のアンドレアは1991年に母親と同じ道をたどりミス・コロンビアに出場しましたが、残念ながらファイナリストに残ることはできませんでした。

2015年 12月2日、ルス・マリナ・スールアガはマニサレスの自宅で静かに息を引き取りました。享年77歳でした。（一部資料では友人宅での死去ともされています。）

彼女がミス・ユニバースとして手にした王冠と笏、そして優勝トロフィーは、現在、首都ボゴタにあるコロンビア国立博物館に大切に保管されており、コロンビア初のミス・ユニバースとしての輝かしい歴史を今に伝えています。

ルス・マリナ・スールアガは、その美しさだけでなく、コロンビアの国民に夢と希望を与えた存在として、長く記憶されることでしょう。

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