ルッカ共和国

ルッカ共和国の歴史

ルッカ共和国（Repubblica di Lucca）は、イタリアのトスカーナ州に位置し、1160年から1805年の約700年にわたって存在した中世から近世にかけての国家です。その都市ルッカを中心に、周辺の田園地帯に加えてエミリア＝ロマーニャ州やリグーリア州との国境に至るまで、広範な領土を持ちました。

自治権の獲得

背景として、イタリア王国の時代にルッカはトスカーナ辺境伯の居城の一つであり、重要な地域でした。1084年には、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が授権した勅書により、ルッカには一定の自治権が与えられました。この時期、城壁から6マイルの範囲には封建城を建設できないという制約がありましたが、後の皇帝による更なる特権の付与があったことで、ルッカは徐々にその自治機能を強化していきました。

共和国の成立と発展

1115年、マティルデ・ディ・カノッサの死後、ルッカは独立したコムーネとしての形をとり始めました。1120年にはコンラートが、1162年にはフリードリヒ1世がルッカの独立を承認するなど、外的な承認も得ることができました。しかし、ルッカは時の権力者ウェルフ6世から封建権を購入し、その結果、皇帝のみに従属する独立共和国としての地位を確立しました。

このように、500年以上にわたってルッカはその独自の共和国として存続しました。12世紀末には、近隣の封建領主と戦うために他のトスカーナの都市と連携し、広大な領土を支配する権力を確立しました。この頃から、特にルッカとフィレンツェの間で広大な領土をめぐる軍事的緊張が高まります。

政治的変遷と内部抗争

13世紀に入ると、ルッカは内部の政治的な争いが激化しました。この時期、人民派の台頭や教皇派と皇帝派の争いが見られ、共和制に大きな影響を及ぼしました。1273年および1277年には、教皇派のルケット・ガッティルシオによる統治が行われ、ルッカの政治体制は複雑さを増しました。共和国としてのルッカは、その後も変化を繰り返しながらも、地方自治を守るために多様な交渉や戦いを続けました。

フランス支配とその後

ルッカは1799年まで独立国として存在していましたが、19世紀の初頭にはフランス第一帝政の影響を受けるようになります。その結果、1805年にルッカ・エ・ピオンビーノ公国に改組され、ルッカ共和国としての歴史は終焉を迎えました。これにより、長い間の独立と自立の時代が幕を閉じ、ルッカは新たな時代への移行を余儀なくされたのです。

総括

ルッカ共和国は、その独立した歴史や政治的変遷、地域の他の都市との関係を通じて、イタリアの中世から近世にかけての社会構造や権力のダイナミクスを反映する重要な国家でした。その独特な歴史は、今日においても多くの研究や議論の対象となっています。

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