ルノーNC型戦車

ルノーNC型戦車

ルノーNC型戦車は、第一次世界大戦後にフランスで開発された戦車であり、主にルノーFT-17軽戦車の進化系となります。この戦車は本格的な量産には至らず、さらなる改良型であるルノーD1戦車の基礎となりました。少数が国外に輸出され、特に日本陸軍においては実戦での使用が見られました。

開発の背景

第一次世界大戦の終戦後、フランス軍には多数のルノーFT-17が残存していました。しかし、予算の制約により新たな戦車の開発は停滞しました。FT-17はコンパクトで軽量なものでしたが、戦時中は塹壕戦に適応した設計であり、移動速度の遅さや平時の運用の難しさが課題でした。

最初の改良型として、リーフスプリングとゴム履帯を採用したケグレス方式の足回りが装着されたルノーFTケグレスが開発され、これにより最高速度は17km/hに向上しましたが、高速走行時の構造的な弱点が露呈しました。さらに、改良型のルノーFTケグレスの生産も行われましたが、これらの車両は他国に輸出されました。

一方で、1923年からルノーは新たにエンジンの強化も図る開発計画を立案。この計画に基づき、二つの試作型が並行して製作されました。最初の試作型（NC1）は1926年に完成し、独自のサスペンション設計を備えていました。後に、歩兵随伴用軽戦車としてのニーズに応じ、NC1をベースにした改良が行われることとなります。

ルノーNC型の特徴

1929年には、NC1の改良型が選定され、最終的にルノーD1となる生産型が準備されました。この一連の開発によって、歩兵支援用の新しい戦車が誕生することとなりました。

ルノーNC型は、1928年から始まった海外市場への販路開拓の一環として、日本やポーランドなどに輸出されました。日本には1930年に23輌のNC型が輸入され、当時の国産戦車と区別するため「ルノー乙型戦車」として呼称されました。

日本陸軍での使用

日本陸軍が購入したルノーNC型戦車は、さまざまな運用がなされました。元のルノーNC型戦車はピュトーSA18 37mm戦車砲やオチキス機銃を搭載していましたが、日本側では輸入後に砲塔を改修し、国産の火器を装備するように改造されました。しかし、輸入された戦車の性能は期待に反し、故障が多かったため、利用面での課題が浮き彫りになりました。

満州事変ではルノー乙型戦車が前線に投入され、実戦経験を持ちましたが、その性能は仮制式化された国産の八九式軽戦車に及ばないものでした。特に装甲の脆弱性が問題視され、試験の結果、装甲板が脱落する事態も発生しました。これにより、日本陸軍はルノーNC型戦車の運用に対する見直しを余儀なくされました。

最終的な運命

中国大陸から日本本土へ戻されたルノー乙型戦車は、戦車学校で訓練用として使用された後、展示車両として保存されることとなります。結局、ルノーNC型戦車はその短い運命の中で多くの教訓を残した存在となりました。戦間期の技術と戦闘の実情を反映する一台として、戦車技術の進化に寄与することとなったのです。

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