ルパン三世 ロシアより愛をこめて

『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』：ロマノフ王朝の金塊を巡る壮大な冒険

1992年7月24日、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて放送されたTVスペシャル『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』は、シリーズの中でも高い人気を誇る作品の一つです。旧ロシア帝国を支配したロマノフ王朝の莫大な金塊500トンを巡り、ルパン三世とその仲間たち、そしてラスプーチンを彷彿とさせる強力な敵との戦いが繰り広げられます。

ロマノフ王朝の遺産と、それを狙う者たち

物語は、ロシア革命後アメリカに持ち去られたとされるロマノフ王朝の金塊500トンの行方をめぐる、ルパン三世の新たな冒険から始まります。その在処を示す手がかりとなる古書を求め、ルパンと次元は、凛とした美貌の女性ジュディと出会います。しかし、彼らを待ち受けていたのは、殺し屋コンビ、ラッキーとビッグマウス・ジョーの襲撃でした。

激しい攻防を繰り広げた末、ルパンはジュディを助けますが、古書はラッキーに奪われてしまいます。しかし、ルパンは古書の最終ページを写真に収めており、その暗号を解読することで、金塊がテキサスの小さな銀行「バンク・オブ・リバティー」（裏社会では「バンク・オブ・バンディッツ」として知られる）の地下金庫に隠されていることを突き止めます。

ルパンは次元、不二子、そしてジュディと共に強奪計画を実行しますが、不二子とジュディは密かに手を組み、ルパンから金塊を横取りしようと企んでいました。

一方、世界中の権力者やマフィアを顧客に持つ世界的な宗教団体の教祖、ラスプートンもまた、金塊を狙っていました。彼はラッキーらの雇い主であり、驚くべき読心術の能力で五ェ門をも翻弄し、斬鉄剣を奪ってしまいます。

交錯する思惑と、シベリアでの決戦

計画通り金塊を奪取したルパンでしたが、不二子とジュディに、そしてさらにラスプートンに奪われてしまいます。相棒ジョーを失い、ラスプートンへの復讐を誓うラッキーは、ルパンに加勢します。

シベリアの教団本拠地で、ジュディはラスプートンに金塊を差し出し入団を申し出ます。しかし、彼女の真の目的は全金塊の強奪であり、五ェ門と密かに手を組んでいました。一方、五ェ門の情報を得たルパンとラッキーもシベリアへ向かい、さらに、金塊の元の所有者であるニューヨークマフィアのボス、カルシオーネの甥ドンビーノも、金塊奪還のため、部下を率いて現れます。

それぞれの思惑が入り乱れ、ドンビーノやラッキーがラスプートンに命を落とす中、ルパンは今度は自らが大型輸送機を操り、金塊強奪作戦を実行します。ラスプートンの読心術も、ルパンの策略の前に通用せず、彼は射殺されます。輸送機は炎上墜落し、溶けた黄金だけが残り、壮絶な戦いは幕を閉じます。

ジュディの真実と、ルパンの選択

ジュディは、アメリカに逃れた皇女アナスタシアの孫であり、ソ連崩壊後の経済混乱で苦しむ故郷のために金塊を手に入れようとしていたことが明らかになります。ルパンは、彼女へのキスとわずかな金塊を報酬とし、シベリアを去ります。

主要登場人物

ルパン三世: 世界的な大怪盗。
次元大介: ルパンの相棒、凄腕のガンマン。
石川五ェ門: 居合いの達人。
峰不二子: ルパン一味の紅一点、妖艶な美女。
銭形警部: ルパンを追うICPOの捜査官。
ジュディ・スコット: 本作のヒロイン。アナスタシア皇女の孫。
ラスプートン: 本作の敵役。怪僧ラスプーチンの孫。驚異的な読心術の持ち主。
ラッキー・マクドナルド: ラスプートンの雇う殺し屋。
ビッグマウス・ジョー: ラッキーの相棒。
カルシオーネ: ニューヨークの大物マフィア。
ドンビーノ: カルシオーネの甥。
デューク・ブラウン: 「バンク・オブ・リバティー」の頭取。

この作品は、緻密に練られたストーリー、個性豊かなキャラクター、そしてスタイリッシュなアクションが見事に融合した、まさに『ルパン三世』シリーズを代表する傑作と言えるでしょう。

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