ルパン三世B

『ルパン三世B』は、モンキー・パンチ原作、馬場民雄作画による『ルパン三世』シリーズのスピンオフ作品です。双葉社発行の『ルパン三世officialマガジン』に連載され、単行本は全1巻でまとめられています。タイトルの『B』は、作画を担当した馬場民雄氏を指しています。

本書のメインストーリーは『犯罪帝国の財宝』です。麻薬王が所有する莫大な財宝を巡り、ルパン三世とその仲間たちが大活躍します。単なる盗難劇ではなく、ルパン、次元大介、峰不二子、石川五ェ門、そして銭形警部という主要キャラクターそれぞれの視点から物語が展開されるのが特徴です。それぞれの立場や思惑が複雑に絡み合い、読者に多角的な視点から事件を追体験させる構成となっています。各キャラクターの個性や人間関係も深く掘り下げられ、単なるアクション漫画の枠を超えた、人間ドラマとしての魅力も持ち合わせています。

『犯罪帝国の財宝』以外にも、複数の短編作品が収録されています。『次元と不二子　2人でお留守番』では、ルパン不在の間に次元と不二子が巻き起こす騒動が描かれ、息の合った軽妙なやり取りが楽しめます。『五ェ門の弟子』では、五ェ門の過去や師弟関係が垣間見える、シリアスな物語が展開されます。『銭形警部の報告書』は、銭形警部の視点から事件が語られ、ルパンたちへの執念と、捜査の苦労がリアルに描写されています。また、『大陸横断超特急』や、2ページのエッセイ風作品『ルパンとワタシ』など、様々なエピソードが収録され、それぞれの作品で異なる魅力を見せています。

一方で、単行本に未収録の作品も存在します。『永久（とわ）の花』、『囚われの名画を救え!』、『壷振り不二子』など、これらの作品は、本書に収録された作品とはまた異なる魅力を持つものと思われます。これらの未収録作品についても、将来的に収録されることを期待したいところです。

『ルパン三世B』は、既存の『ルパン三世』シリーズ作品とは異なる魅力を持つ、意欲的なスピンオフ作品です。単なるパロディやオマージュではなく、馬場民雄氏独自の解釈を加えた、新しい『ルパン三世』の世界観が展開されています。ルパンシリーズのファンはもちろん、初めて『ルパン三世』に触れる読者にとっても、十分に楽しめる作品と言えるでしょう。個性豊かなキャラクター、スリリングな展開、そして深みのある人間ドラマが詰まった、一冊を通して、読後感の満足度も高い一冊です。

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