ルパン三世M

『ルパン三世M』：10年に渡る冒険の軌跡

『ルパン三世M』は、2004年から2013年にかけて『ルパン三世officialマガジン』で連載された漫画作品です。深山雪男による緻密な作画と、飯岡順一によるストーリー監修のもと、モンキー・パンチ原作の世界観を継承しながら、新たな魅力を放つエピソードの数々が展開されました。

多彩なクリエイター陣と個性豊かなエピソード

本作品では、初期のエピソードには『ルパン三世』TVスペシャル制作に携わった脚本家、柏原寛司などベテラン勢が参加。しかし、連載が進むにつれてTVスペシャル未経験の安部陽子といった新たな才能も加わり、作画担当の深山雪男自身も脚本に携わるなど、多様な視点が作品に反映されています。

全8巻にわたる単行本には、「虹の雫」を巡る冒険や、銭形警部を主人公としたスピンオフ作品「Farewell, my lovely」、そして『ルパン三世 天使の策略 〜夢のカケラは殺しの香り〜』を異なる視点で描いた「天使の策略 〜Another Angels〜」など、多種多様なエピソードが収録されています。『ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ』や『ルパン三世 霧のエリューシヴ』といったTVシリーズをコミカライズした作品も含まれ、それぞれの物語が独特の雰囲気と魅力を放っています。さらに、ミスターXとの最終決戦を描いた「死の果ての復讐 ～Revenge of outskirts of death～」や、『ルパン三世 the Last Job』の前日譚となるエピソードなど、シリーズファンを唸らせる内容も盛り込まれています。

主要エピソード群

作品を彩る数々のエピソードは、それぞれ独自のテーマと魅力を持っています。例えば、アフリカの秘宝「虹の雫」をめぐる第一話「The Tears of the Rainbow ～虹の雫～」では、ルパンと不二子の前に凄腕の戦争屋が立ちはだかります。銭形警部を主人公とした「Farewell My Lovey」は、『カルメン』を下敷きにした、彼の知られざる一面を描いた秀逸なスピンオフです。「天使の策略 〜Another Angels〜」は、既出の作品を新たな解釈で描いた、まさに「もう一つの天使の策略」と言えるでしょう。「セブンデイズ ラプソディ」はTVシリーズをコミカライズした作品で、その緊迫感とドラマ性を高いレベルで再現しています。「霧のエリューシヴ」は、1stシリーズの後日談として、新たな謎とスリルを提供しています。また、「死の果ての復讐 ～Revenge of outskirts of death～」では、ルパンの宿敵ミスターXとの最終決戦が描かれ、シリーズを通して描かれてきた宿命の対決に終止符が打たれます。「消えた王家の証のありか」は、『ルパン三世 the Last Job』に登場するアンドレ・マクシムと次元大介の因縁を描く前日譚として、彼らの関係性をより深く理解する上で重要なエピソードです。

最終回とその後

2013年春号に掲載された最終話「春の嵐」は、次元大介を主人公に据えた異色のエピソードです。ルパンと五ェ門は結末にわずかに登場するのみで、不二子は全く登場しません。最終回らしい劇的な展開はなく、静かに幕を閉じました。約10年にわたる連載は、多くの読者に惜しまれつつ、その幕を閉じました。

関連作品との繋がり

『ルパン三世M』は、『ルパン三世』シリーズ全体の豊かな世界観を踏まえつつ、独自の解釈と魅力で多くのファンを魅了しました。他の関連作品、『ルパン三世 (Shusay版)』『ルパン三世Y』『ルパン三世H』と比較検討することで、『ルパン三世M』の独自性と、シリーズ全体における位置付けをより深く理解することができるでしょう。

もう一度検索