ルメン・ラデフ

ルメン・ラデフ：ブルガリア大統領の経歴と政治

ルメン・ゲオルギエフ・ラデフ（Румен Георгиев Радев）は、1963年6月18日生まれのブルガリアの政治家であり、元空軍軍人です。彼はブルガリア空軍の司令官を務めた経歴を持ち、2017年1月からブルガリアの大統領として国を率いています。2016年の大統領選挙で初当選し、2021年の選挙でも再選を果たしました。

経歴

ラデフは、ブルガリアのディミトロヴグラトで生まれました。1982年にはハスコヴォの数学学校を金メダルを得て卒業し、1987年にはゲオルギ・ベンコフスキ・ブルガリア空軍大学を首席で卒業しました。さらに、1992年にはアメリカ合衆国のマックスウェル飛行中隊長士官学校を卒業しています。1994年から1996年まではラコフスキ国防幕僚大学で学び、これも首席で卒業しました。彼は軍事学の博士号を持ち、航空機搭乗員の戦術訓練と航空戦のシミュレーション改善を専門としています。

2003年には、アメリカのマックスウェル空軍基地にある空軍戦争大学を優等で卒業し、戦略論の修士号を取得しました。

軍歴

ラデフは、1987年から軍人としてのキャリアをスタートさせました。

1987年 - 1988年：第15戦闘機航空連隊見習操縦士
1989年 - 1990年：第15戦闘機航空連隊副部隊長
1990年 - 1994年：第15戦闘機航空連隊部隊長
1996年 - 1998年：第5戦闘機航空基地MiG-29中隊長
1998年 - 1999年：第5戦闘機航空基地飛行準備部副部長
1999年 - 2000年：第3戦闘機航空基地飛行訓練部副部長
2000年：ブルガリア共和国航空防衛研究員
2000年 - 2002年：第3戦闘機航空基地幕僚長
2003年 - 2005年：第3戦闘機航空基地幕僚長
2005年 - 2009年：第3戦闘機航空基地長
2009年 - 2014年：ブルガリア空軍副司令官
2014年 - 2016年：ブルガリア空軍司令官

政治活動

2016年8月、ラデフは大統領選挙に野党であるブルガリア社会党とブルガリア再興のための選択肢（ABR）から共同で候補者として指名されました。しかし、ABRは後にこの推薦を取り下げ、代わりにイヴァイコ・カルフィンを指名しました。

2016年11月6日の第1回投票では、ラデフは総投票数の25.44%を獲得し、決選投票に進みました。11月13日に行われた決選投票では、ヨーロッパ発展のためのブルガリア市民（GERB）のツェツカ・ツァチェヴァ候補に対し、59.37%の得票率で勝利しました。

ラデフは、ボイコ・ボリソフ政権とオリガルヒ（新興財閥）との関係を批判しており、両者の関係は良好とは言えません。2020年7月には、警察当局が大統領府を強制捜査し、ラデフの側近2人が利益誘導や国家機密暴露の容疑で拘束されるという事態が発生しました。この事件をきっかけに、首都ソフィアなどで反政府デモが発生し、ラデフ自身も内閣総辞職を要求しましたが、ボリソフはこれを拒否しました。その後も、反政府勢力による退陣要求の署名運動がオンラインで行われるなど、混乱が続きました。

2021年はブルガリア政界が不安定な年となり、4月の議会選挙後、ボリソフが退陣したものの、後継首相を巡る連立交渉がまとまらず、7月には議会再選挙が行われました。しかし、それでも正式な政権が発足せず、11月14日には議会・大統領ダブル選挙が実施されることになりました。ラデフ自身も大統領選挙に出馬し、第1回投票で49.41%の票を獲得し、2位のアナスタス・ゲルジコフ（ソフィア大学学長、22.82%）とともに決選投票に進みました。11月21日の決選投票では、66.72%の票を獲得し、ゲルジコフを破って再選を果たしました。

人物

ラデフは、最初の妻であるギンカ（2011年離婚）との間に、ダリナ（2001年生）とゲオルギ（2003年生）の2人の子供がいます。その後、社会党所属の国会議員であるゲオルギ・スヴィレンスキの元妻、デシスラヴァ・ゲンチェヴァと再婚しており、彼女には連れ子がいます。

2019年10月22日には、日本の即位礼正殿の儀に参列し、10月24日には迎賓館赤坂離宮で安倍晋三内閣総理大臣と会談を行いました。

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