ル・ブレ

ル・ブレ (Le Boulet)

『ル・ブレ』（Le Boulet）は、2002年に製作されたフランスとイギリス合作のカーアクション・コメディ映画です。原題である「Le Boulet」は、フランス語で「弾丸」を意味します。

あらすじ

暗黒街のボスであるモルテスは、現在塀の中で服役中。彼は毎週、信頼する看守長のフランシス・レジオに依頼して宝くじを購入していました。ある日、ついに購入した宝くじが高額当選を果たします。当選金額はなんと1500万ユーロ（日本円で約17億円）という巨額でした。しかし、当選券の保管を任されていたレジオは、その大切な宝くじをどこかに紛失してしまったことに気づき、パニックに陥ります。

時を同じくして、レジオの姿が見えないことに気づいたモルテスは、レジオが宝くじを横取りして逃亡したと誤解。怒りに燃えるモルテスは、なんとか刑務所から脱獄します。一方、宝くじを失くしたレジオは、別居中の妻ポーリーヌがアフリカにいることを思い出し、彼女のもとに宝くじがあるかもしれないとアフリカへ向かいます。

宝くじを奪われたと思い込むモルテスと、宝くじを探すレジオは、ひょんなことから行動を共にすることになります。彼らが向かったアフリカでは、偶然にも苛酷なパリ～ダカール・ラリーが開催されており、二人の宝くじ争奪戦は、広大なサハラ砂漠を舞台にした壮大な追跡劇へと発展していきます。さらに、モルテスに弟を殺されたことで復讐を誓うかつての仲間トルコ、そして執拗にモルテスを追うユッスール警部も彼らを追い、事態はさらに混乱を極めます。金と欲望、誤解が入り乱れる珍道中の果てに、二人は無事当選金を手に入れることができるのでしょうか。

主な登場人物

モルテス（演：ジェラール・ランヴァン）
この物語の主人公である暗黒街のボス。冷酷な一面を持ちながらも、7年間の服役を経て性格が少し丸くなり、レジオとは友情を育みます。普段は冷静沈着ですが、激高すると荒々しい口調になります。宝くじの賞金で静かに暮らすことを夢見ており、レジオとは衝突しつつも、次第に唯一無二の相棒として認識するようになります。

フランシス・レジオ（演：ブノワ・ポールヴールド）
モルテスが服役する刑務所の看守長。モルテスとは当初は尊大な態度で接していましたが、長い年月を経て親友となります。妻ポーリーヌとの関係に悩む愛妻家でもあります。落ち着きがなく、お喋りで要領が悪い面もありますが、気前が良く、モルテスとの衝突もすぐに収まる楽天家です。潔癖な部分もあり、間接キスやプールの衛生状態を気にするなど、デリケートな一面も持ち合わせています。妻と最高級キャンピングカーでロワール河畔の城を巡る旅をすることが彼の夢です。

トルコ（演：ホセ・ガルシア）
モルテスの元仲間で、弟をおとり捜査中にモルテスに殺されたことで彼への強い憎悪を抱いています。出所したモルテスへの復讐を果たすため、子分のメグと共にアフリカまで追跡します。短気で乱暴な言葉遣いをし、野蛮とも評されるほど礼儀知らずです。名前を「クルド」と間違えられることを嫌がっています。

ポーリーヌ・レジオ（演：ロッシ・デ・パルマ）
フランシスの妻。医療関係の仕事に就いており、長身で大きな鼻が特徴的な容姿です。勇気があり行動力に溢れ、運動神経も優れています。

ユッスール警部（演：ジャイモン・フンスー）
モルテスの逮捕に執念を燃やす、粘着質な警官です。

メグ（演：ゲイリー・ティップレディ）
トルコの子分である、大柄な男です。

コワルスキー（演：ジェラール・ダルモン）
モルテスの右腕として、様々な面で彼を支える年配の腹心です。

サダム（演：ジャン・ベンギーギ）
アフリカ・トゥバの町で店を経営する男。盗品の取引にも関わっているようです。狡猾で欲深く、背が低いという特徴があります。

マリ人の看守（演：ジャメル・ドゥブーズ）
クレジットされていないものの、印象的な看守役で登場します。

スタッフ

監督：アラン・ベルベリアン、フレデリック・フォレスティア（アクション・シーン担当）
脚本：トマ・ラングマン、マット・アレクサンダー、マニュエル・デリエ、ドミニク・メツェレット
撮影：ジャン＝ピエール・ソーヴェール、マヌエル・テラン、ヴィンセント・マティアス、クリストフ・パトュランジ
編集：フィリップ・ブーゲイユ
音楽：ジャン＝ルイ・ヴィエール
美術：カルロス・コンティ、ロラン・オット
衣裳デザイン：シャトゥーヌ、シルヴィ・オン

公開と興行成績

本作は、2002年4月10日にフランス国内824館で公開されました。初登場から2週連続で週間興行成績第1位を獲得し、トップ10圏内に6週間ランクインする成功を収めました。フランスでのオープニング成績は公開当時、歴代8位という記録を樹立しました。

日本では、2002年6月22日に「第10回フランス映画祭横浜2002」にて上映された後、同年8月31日に旧・日比谷みゆき座系列の劇場で一般公開されました。また、日本公開に先駆けて、漫画家のモンキー・パンチ氏や電撃ネットワークの南部虎弾氏がデザインを手がけた、本作にインスパイアされたTシャツが制作・販売されるなど、ユニークなプロモーションも展開されました。

外部リンク

公式サイト（フランス語）
ギャガ・コミュニケーションズによる作品紹介
allcinema - ル・ブレ
IMDb - Le Boulet

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