ルース・オゼキ

ルース・オゼキについて

ルース・オゼキは、1956年3月12日にアメリカ合衆国のコネチカット州ニューヘイブンで生まれた日系2世の小説家、映像作家、そして禅僧として多岐にわたる活動を行っている。彼女の作品は、特に日系アメリカ人という独自の視点を持ちながら、様々な社会問題や環境問題をテーマにしている。

家族背景と教育

オゼキの父はイェール大学の言語学者・人類学者フロイド・ラウンズベリーで、母は日本人家庭で育った言語学者のマサコ・ヨコヤマである。ルースの本名はルース・ダイアナ・ラウンズベリーで、オゼキは彼女の元ボーイフレンドの姓を用いたペンネームである。彼女はスミス大学で英文学とアジア研究を学び、卒業後は日本の文部省の奨学金で奈良女子大学の大学院に進学し、日本古典文学を研究した。その間、京都に滞在し、さまざまな経験を積んだ。

映像作家としてのキャリア

1985年にアメリカに帰国し、オゼキはニューヨークで映画製作に携わり、特に低予算映画の美術監督として活動した。彼女が携わった作品には、1986年の『妖獣伝説ネクロポリス』や同年の『ブリーダーズ』、さらに『アンドロイド・バスターズ 残虐メカ帝国の逆襲』などがある。日本語が堪能であったことを活かし、ニューヨークで日本のテレビ番組や広告会社の制作にも関与した。

ドキュメンタリー製作

オゼキは後に自らドキュメンタリー映画を制作し、1994年には『Body of Correspondence』を、1995年には祖母の葬儀を扱った自伝的な『Halving the Bones』を発表した。これらの作品では、彼女自身のルーツや文化的背景を深く反映させている。

小説家としての活動

オゼキは40歳を超えてから小説家としてのキャリアを開始し、1998年に発表した初の小説『イヤー・オブ・ミート』が注目を集めた。この作品では、アメリカの肉を日本に宣伝する女性ディレクターとその肉を使った料理を作る日本人女性との物語が展開され、薬害問題にも触れられている。続いて2003年の『All Over Creation』では、遺伝子組換え生物の問題を扱った日系女性の視点からの物語が描かれている。2013年に発表した『A Tale for the Time Being』では、東日本大震災を背景にブリティッシュコロンビア州に住む女性の物語が展開され、彼女はハローキティの弁当箱に入った少女の日記を見つける。

禅僧としての活動

オゼキは2001年に禅に目覚め、2010年には曹洞宗の僧としての道を歩み始めた。彼女の人生には、文学だけでなく精神的な成長も強く結びついており、作品にもその影響が見られる。夫はカナダ人の環境芸術家オリバー・ケルハマーで、現在はカナダのブリティッシュ・コロンビア州とニューヨークを行き来する生活を送っている。

受賞歴と文献

オゼキは2022年に女性小説賞を受賞するなど、その作品と活動が広く評価されている。また、彼女に関する批評や研究も行われている。内外の文献には、彼女の作品の批評やエコクリティシズムに関する考察が含まれており、文学だけではない多方面での影響力が伺える。

公式サイト

ルース・オゼキの公式サイトでは、彼女の最新の活動や作品に関する情報が掲載されている。

もう一度検索