レアリティーズ (ビートルズのアルバム)

ビートルズ『レアリティーズ』：隠れた名曲集

1978年12月2日、ビートルズのベストアルバム『レアリティーズ』(Rarities)が発売されました。このアルバムは、CD化されていない希少な作品として、現在でも多くのビートルズファンを魅了しています。

アルバムの成り立ちと特徴

『レアリティーズ』は、当初1977年発売のLPボックスセット『The Beatles Collection』の付属盤として企画されました。このボックスセットには、英国盤オリジナルアルバムが全て収録されていましたが、アメリカ編集盤である『マジカル・ミステリー・ツアー』と『ヘイ・ジュード』は含まれていませんでした。そのため、完全な全曲集とは言えませんでした。

しかし、英国の小売店がボックスセットから『レアリティーズ』だけを取り出して販売したところ、予想外の好評を得ます。この人気を受け、EMIは『レアリティーズ』を単独アルバムとして発売することを決定しました。

アルバムのタイトルである「レアリティーズ」は、「珍品」を意味する「rarity」の複数形です。その名の通り、このアルバムには、英国盤オリジナルアルバムには未収録だったビートルズの楽曲が多数収録されています。中には、世界初となるステレオバージョンで収録された楽曲も含まれており、コレクターアイテムとしての価値も高いと言えるでしょう。

収録曲と注目点

『レアリティーズ』には、シングル曲やEP曲、そしてアルバム未収録曲が収録されています。特に注目すべき点は以下の通りです。

ドイツ語版「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」の初収録: これらの楽曲は、英国では初めてこのアルバムでリリースされました。
「アクロス・ザ・ユニヴァース」の特別なバージョン: アルバム『レット・イット・ビー』とは異なるミックスバージョンが収録されています。
* モノラルとステレオの混在: アルバムの性質上、収録曲の音源はモノラルとステレオが混在しており、音質へのこだわりも感じられます。特に「シー・ラヴズ・ユー（ドイツ語）」のステレオバージョンは世界初リリースという貴重なものです。しかし、シングル曲やEPでリリースされていた楽曲は全てモノラルバージョンが収録されている点が興味深いです。

その他にも、『レアリティーズ』には、イギリス盤では初収録となる楽曲や、アメリカ盤では既発だがイギリス盤では未収録だった楽曲など、様々な曲が収録されています。それぞれの楽曲の背景や録音状況、そして音質の違いなどを比較検討することは、ビートルズファンにとって大きな楽しみとなるでしょう。

アルバムの評価

アルバムの性質が特殊だったこともあり、『ミュージック・ウィーク』誌では最高位71位と、ビートルズのアルバムとしてはやや低い順位に終わりました。しかし、その後の評価は高く、現在では入手困難な希少盤として、コレクターやビートルズファンから高い人気を誇っています。

まとめ

『レアリティーズ』は、ビートルズの知られざる魅力を再発見できる貴重なアルバムです。CD化されていないことからも、その希少性が伺えます。ビートルズの音源を網羅的に聴きたい、あるいはレアな音源を探しているという方には、特におすすめの作品です。アルバムに収録されたそれぞれの楽曲の詳細な解説を紐解きながら、ビートルズの音楽世界を深く味わってみてください。

もう一度検索