レイク・ストリート・ダイヴ

マサチューセッツ州ボストンで2004年に結成されたレイク・ストリート・ダイヴは、特定のジャンルにとらわれない多様な音楽性を持つバンドです。ニューイングランド音楽院で学生時代に出会ったレイチェル・プライス（ヴォーカル）、マイク・オルソン（トランペット、ギター）、ブリジット・カーニー（コントラバス）、マイク・カラブリース（ドラムス）の4人が初期の中心メンバーでした。バンド名は、ミネアポリスにあるオルソンゆかりの通りの名前に由来しています。現在はブルックリンを拠点に、北米およびヨーロッパで精力的に活動を行っています。

結成と初期の歩み

バンド結成当初、彼らはアマチュアとしてカントリーミュージックを演奏する方向性を模索していましたが、オルソンはこの初期のコンセプトに何か物足りなさを感じていました。転機となったのは、ブリジット・カーニーが作曲した楽曲でジョン・レノン作曲コンテストに応募し、2005年のジャズ部門で優勝したことです。これにより賞金とCD制作の機会を得て、バンドはデビューCD「In This Episode...」を録音しました。続いて自主制作でアルバム「Promises, Promises」を発表。2011年には、2010年に行われたリザーズ・ラウンジでのライブ映像を公開し、これが後のアルバム「Lake Street Dive」へと繋がっていきます。

彼らの初期は、各地でのライブ出演を重ねる日々でした。2007年のアイオワ州デモインでの小規模な演奏から始まり、2011年5月のノースカロライナ州ローリーでの公演までに、24州で100回以上のライブをこなしました。さらに2011年秋の2ヶ月間には、13州22カ所を巡る集中的なツアーも行っています。

レーベル移籍と飛躍

シグニチャー・サウンド・レコーディングスと契約した後、2010年11月にアルバム「Lake Street Dive」をリリース。バンドは徐々に結束を強め、ブリジット・カーニーはレイク・ストリート・ダイヴに集中するため、並行して活動していたバンドJoy Kills Sorrowを脱退しました。2012年末には新たなアルバム制作に取り組みますが、リードヴォーカルのレイチェル・プライスが他のレーベルと契約中だったためリリースの遅れが生じました。しかし、2013年後半に問題が解決し、2014年2月に待望のアルバム「Bad Self Portrait」を発表します。

この時期、バンドの活動は爆発的に増加しました。2013年から2014年にかけて、彼らは43州と8ヶ国、175以上の都市で300回を超えるライブを実施。「Bad Self Portrait」リリース直後のツアーでは、40会場がソールドアウトとなるほどの人気を集めました。この頃の楽曲「We All Love The Same Songs」は、メンバー全員で唯一共作した曲であり、彼らの関係性を象徴する曲とされています。

彼らの知名度を決定づけたのは、ボストンの路上で一本のマイクを使って録音し、YouTubeにアップロードしたジャクソン5のカバー「I Want You Back」でした。この動画は大きな注目を集めます。2013年にはFreshGrass祭りでの演奏が録音され、同年12月にはTボーン・バーネットの招きで、コーエン兄弟の映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス名もなき男の歌』にちなんだニューヨークでのコンサートに出演しました。その後、「コルベア・レポー」や「デイヴィッド・レターマン・レイト・ショー」など、数多くのテレビ番組にも登場し、ユーモラスなハロウィン企画のカバー動画も自身で制作・公開するなど、多様なメディア展開を見せました。

2015年には大きな変化があり、ナッシュビルでデイヴ・コブと新アルバムの制作を開始し、11月には名門Nonesuch Recordsとの契約を発表しました。この年はライブ回数が97カ所と以前より落ち着きましたが、オーストラリアやニュージーランドでのツアーも行っています。

メンバー変遷と近年の活動

バンドのメンバー構成も時を経て変化しました。初期メンバーのマイク・オルソンは2021年発表のアルバム「Obviously」への参加を最後にバンドを離れました。その後、ジェイムス・コーネリソンがギタリストとして加入（2021年から）。また、キーボードとヴォーカル担当のアキー・バーミスが途中で加わり、2018年のアルバム「Free Yourself Up」から参加しています。現在の主要メンバーは、レイチェル・プライス、ブリジット・カーニー、マイケル・カラブリースに、ジェイムス・コーネリソン、アキー・バーミスを加えた編成となっています。

ディスコグラフィ

以下は主要な作品リストです。

スタジオ・アルバム
In This Episode... (2007)
Promises, Promises (2008)
Lake Street Dive (2010)
Bad Self Portrait (2014)
Side Pony (2016)
Free Yourself Up (2018)
Obviously (2021)
Good Together (2024)

ライブ・アルバム
Live at the Lizard Lounge (2011, 配信)

EP
Fun Machine (2013)
Freak Yourself Out (2018)
Fun Machine: The Sequel (2022)

シングル
* What I'm Doing Here / Wedding Band (2014)

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