レイジング・ファイア

レイジング・ファイア（Raging Fire）

2021年に公開された『レイジング・ファイア』は、香港と中国の合作で、故ベニー・チャン監督の遺作となったアクション映画です。主演はドニー・イェンとニコラス・ツェーの二人が務めており、彼らが共演するのは2006年の『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』以来です。

この映画は、正義を貫く香港警察のボンと、悲劇的な事件を経て警察を辞めざるを得なくなった凶悪犯罪者ンゴウの激しい対立を描いています。物語は麻薬取引を巡る複雑な要素を織り交ぜながら進行していきます。ボンがけがを招いた事件の背景には、かつて同僚だったンゴウの存在があり、彼の復讐心が物語を動かしていきます。

ストーリー概要

物語は、香港警察がベトナムマフィアとの関与を持つ香港マフィアの薬物取引を摘発しようとするところから始まります。イウ警部の指揮のもと捜査チームが現場に詰めかけると、突然現れた謎の5人組が襲撃し、麻薬取引関係者および警官を惨殺します。その混乱の中、捜査から外されたボンは、元同僚のンゴウがこの事件に関与していることに気づきます。

物語は回想に入り、4年前に発生した銀行会長の誘拐事件が描かれます。この時、警察はフォックの救出を命じられ、ンゴウが上層部の指示に従って拷問を行った結果、容疑者が死亡します。結局、その事件で恩赦を受けることなく逮捕されたンゴウたちは、警察から復讐することを決意します。出所後、彼らは凶悪な犯罪集団を結成し、かつての同僚に対して激しい報復を目論みます。

復讐を果たすべく、ンゴウたちは香港警察を挑発する行動を取り始めます。ボンは警察の規定に基づき、証拠が無い限り48時間以内に釈放せざるを得ないンゴウの取り調べを行いましたが、結果的に彼は出所してしまいます。これにより、ボンは上層部から責任を問われますが、彼は再び捜査に戻ることができます。

クライマックスと興行成績

物語は、武装したンゴウたちが更なる暴走に出ることで急速に展開します。彼らは副総監を人質に取り、ボンの妻が教えるバレエ教室を襲撃する事件が勃発。その後、数々の激しい展開を経て、ボンとンゴウの壮絶な死闘が繰り広げられます。

興行成績において、本作は中国本土で大成功を収め、公開初日に140万香港ドルを記録するなど、2021年の映画の中で最も多くの観客を動員しました。また、世界中での評価も高く、特に主演の二人によって甦った香港映画スタイルの復活が評価されました。日本の映画評論家すらもその完成度を称賛していますが、一方で香港警察の腐敗や社会の荒廃が「薄味」に描かれている点も指摘されています。

『レイジング・ファイア』は、その圧倒的なアクションと緊迫したストーリー展開により、今後も香港映画界に強い影響を与え続ける作品となることでしょう。本作は2023年に続編の製作も計画されており、その行方にも期待が寄せられています。

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