レイチェル・スミス

レイチェル・リニー・スミス（Rachel Renee Smith）は、1985年 4月18日にパナマの米軍基地で生を受けました。父親は南アフリカ系の黒人、母親は白人という出自を持ちます。彼女はテネシー州で育ち、約180センチの長身を活かして、後にアメリカを代表するビューティーページェント勝者となりました。

生い立ちと学歴

テネシー州ナッシュビルにあるベルモント大学に進学したレイチェルは、学業においても優れた才能を発揮しました。ジャーナリズムを専攻し、授業料全額支給の奨学金を得て学び、2006年には優等生として大学を卒業しています。大学在学中には、著名なテレビ司会者であるオプラ・ウィンフリーが所有する企業でインターンシップを経験。後にミスUSAとして戴冠した後には、オプラ・ウィンフリーのトークショーにもゲストとして出演し、その交流が注目されました。

ミスコンテストの経歴

レイチェルのミスコンキャリアは、ミス・ティーンUSAから始まりました。2001年にはミス・テネシー・ティーンUSA大会で4位に入賞。翌年の2002年大会では見事優勝し、州代表としてミス・ティーンUSA全国大会に出場しました。全国大会ではトップ10に選ばれ（最終成績は9位）、さらにミス・フォトジェニック賞も受賞するなど、早くからその美貌と才能を高く評価されました。

その後、レイチェルは成人向けのミスコンテストへと舞台を移します。2006年10月には、ミス・テネシーUSA大会で優勝し、ミスUSA全国大会への切符を手に入れました。これは、かつてミス・テネシー・ティーンUSAであった人物がミス・テネシーUSAにも選ばれるという、州大会史上4人目の快挙でした。そして2007年 3月23日、ロサンゼルスのコダック・シアターで開催されたミスUSA大会において、レイチェルは全米の頂点に立ちました。テネシー州出身者としては2人目のミスUSA誕生であり、また、ミス・ティーンUSA出場経験者が3年連続でミスUSAのタイトルを獲得するという記録も樹立しました。この大会で彼女が着用したJovani製のイヴニングガウンは、州大会と同じものを着ていたことが話題となりました。

ミス・ユニバースでの経験

ミスUSA代表として、レイチェルは2007年 5月28日にメキシコシティで開催されたミス・ユニバース2007世界大会に出場しました。しかし、この大会では予想外の困難に直面します。当時のアメリカの移民政策に対する南米諸国の反感が背景にあったこともあり、レイチェルはメキシコの観客から度々ブーイングを受けました。

特に、トップ10に残った出場者によるイヴニングガウン審査中、レイチェルはドレスの裾につまずいて転倒するというハプニングに見舞われます。それでも毅然と立ち上がり、審査を終えた彼女には一部から声援も送られましたが、転倒したにもかかわらずトップ5に進出したこと、そして地元メキシコ代表がトップ10止まりだったことなどが重なり、観客からのブーイングは一層激しさを増しました。質疑応答の審査でもブーイングは鳴りやまず、「メキシコ」コールが会場に響き渡る異様な雰囲気となりました。ようやく観衆の態度が軟化し、声援が送られたのは、質疑応答の締めくくりにレイチェルがスペイン語で挨拶をしてからでした。

大会共同保有者であったドナルド・トランプは、一連のブーイングについて「レイチェル個人に向けられたものではなく、アメリカの政策に対する抗議だった」との見解を示しました。メキシコでのミス・ユニバース大会でミスUSAがブーイングを受けるのは、1993年大会に続いて二度目のことでした。

様々な困難がありながらも、レイチェル・スミスはミス・ユニバース2007大会で総合5位に見事入賞し、その強い精神力と対応力を見せつけました。

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