レインジャー8号

レインジャー8号について

レインジャー8号（英: Ranger 8）は、NASAのレインジャー計画に基づいて製造された月探査機です。主な目標は、月面に衝突する直前のわずか数分間での高解像度写真の撮影でした。探査機には、6台のビジコンカメラ、2台の広角カメラ、そして4台の狭隅角カメラが搭載されており、各カメラは独立した電源や通信システムを備えているため、全体の信頼性が高まりました。レインジャー8号には観測装置はカメラのみが搭載されていました。

設計

レインジャー8号は、6号機以降共通の「ブロック3」と呼ばれる設計が採用されています。基本構造はほぼ同じで、高さは約3.6メートル、直径1.5メートルの六角形が基盤となっています。上部は円筒形の構造になっており、下部に展開式の太陽電池パネルやパラボラ高利得アンテナを持ち、展開時には太陽電池パネルが約4.6メートルに広がります。カメラは円筒部の先端に配置されており、準無指向性の低利得アンテナも装備されています。

推進システムには、ヒドラジン単元推進薬を使ったロケットが搭載され、224Nの推進力を発生させることができます。また、方向制御には4枚のジェットウィングを使用し、高度や姿勢を制御するために3台のジャイロや合計6台の太陽センサー、2台の対地センサーが機能しています。姿勢維持には窒素ガスジェットを使用し、電源供給は主に太陽光発電と銀亜鉛電池によります。

通信システムは、準無指向性低利得アンテナとパラボラ高利得アンテナの2種類が装備され、異なる波長の信号を用いてデータ通信を行います。ビデオ信号はRF信号に変換して送信します。

打ち上げ経過

レインジャー8号は、アトラス196DとアジェナB6006の組み合わせで打ち上げられ、その後185kmの宇宙待機軌道に設置されました。約14分後にはアジェナロケットの点火により月遷移軌道へ入り、その後分離しました。分離後、太陽電池パネルや高利得アンテナが展開され、通信は無指向性アンテナから高利得アンテナに切り替えられました。

2月18日には、地球から約16万kmの位置で中間軌道操作を行い、その際に通信機の電力が一時低下しましたが、影響は軽微でした。月到着直前には、広範囲の月面撮影が可能になるようにカメラの制御が変更されました。

1965年2月20日、レインジャー8号は月に到達し、最初の画像を高度2510kmから撮影しました。この間、合計7137枚の高解像度画像が送信され、最後の画像の解像度は1.5mでした。レインジャー8号は、月面の静かの海に秒速約2.68kmで衝突し、衝突時の座標はN2.67度、E24.65度でした。これは、最初の発表とは異なる座標でした。

このように、レインジャー8号は月探査の重要な milestoneであり、高解像度の月面写真を通じて、科学と技術の進歩をもたらしました。

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