レインジャー9号

レインジャー9号の概要

レインジャー9号（英語: Ranger 9）は、NASAのレインジャー計画に基づいて設計された月探査機です。1965年に打ち上げられ、その目的は月面に直接衝突する前に高解像度の写真を撮影することでした。この探査機は、計6台のビデオカメラに加えて、広角カメラ2台と狭隅角カメラ4台を搭載しており、各カメラは独立した電源と通信システムを持つことで、より信頼性の高い運用が可能でした。

設計と構造

レインジャー9号は、6号機以降のブロック3設計系統に基づいており、全体的に同様の構造を持っています。これには、推進システムと電源ユニットの上に約1.5メートルの幅の六角形のプラットフォームが搭載され、上部には円筒状の構造が存在しています。全高は3.6メートル程度で、展開式の太陽電池パネルやパラボラ型の高利得アンテナも備えています。展開時には、太陽電池パネルは約4.6メートルまで広がります。また、カメラ装置は円筒部の上にあり、無指向性の低利得アンテナが先端に取り付けられています。

推進システムは、ヒドラジンを使用した単元推進薬を利用し、224Nの推進力を発揮します。方向調整は、4枚のジェット翼で行われ、高度や姿勢の制御は、3台のジャイロや6台の太陽センサ、2台の対地センサを活用することによって実現されました。電源は太陽電池のほか、銀亜鉛電池による供給も受けています。通信には、準無指向性の低利得アンテナと高利得パラボラアンテナが使用され、3つの異なる波長の通信装置が搭載されていました。

ミッションの経過

レインジャー9号は、1965年3月21日にアトラス204DとアジェナB6007を用いて打ち上げられました。打ち上げは予定通りに行われ、185kmの宇宙待機軌道に到達した後、月遷移軌道に乗るためにアジェナロケットの2度目の点火が行われました。その後、レインジャー9号はアジェナから分離し、数分後には太陽電池パネルと高利得アンテナを展開させました。初期の軌道精度は良好で、当初の計画よりも遅れが少なく運用が続行されました。

1965年3月24日、レインジャー9号は月に到達し、その後、写真の解像度を向上させるためにカメラを飛行方向に調整しました。衝突の20分前より1分間のカメラ準備が行われ、初の画像は高度2363kmから撮影されました。このミッションでは、19分間の間に5814枚もの高精細な写真が送信されました。最終的な画像は解像度0.3mに達し、衝突は月の赤道から-5.6度の入射角で行われました。

レインジャー9号は、発射から64.5時間後の1965年3月24日14:08:19(UT)に南緯12.83°、東経357.63°のアリフォンススクレーターへ時速2.67kmで衝突しました。この衝突の際には、GPTチャンネルの生放送が行われ、瞬時に地上にいる視聴者に伝えられました。

参考情報

レインジャー9号の成功は、後続の月探査ミッションにおける重要なステップとなり、宇宙探査技術の進歩に寄与しました。このミッションの詳細については、NASAの公式リソースなどで確認できます。

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