レコード・アカデミー大賞

レコード・アカデミー賞

レコード・アカデミー賞は、日本の音楽出版社である音楽之友社が主催する、クラシック音楽の録音に関する栄誉ある賞です。同社が発行していた月刊の専門誌「レコード芸術」によって1963年に創設されました。この賞は、その年に日本国内でリリースされたクラシック音楽のディスク作品の中から、特に優れた演奏や録音、企画に対して贈られるものであり、長年にわたり日本のクラシック音楽録音界で最も権威ある表彰の一つとして広く認識されています。

選考の対象となるのは、特定の期間内に日本のレコード会社から公式に発売されたクラシック分野のCD、DVD、ブルーレイなどのディスク作品です。選考プロセスは二段階に分かれて行われます。

選定要領

1. 第1次選考（部門賞）:
年間にわたり「レコード芸術」誌上で「特選盤」として推薦された録音の中から、選定委員が一堂に会し、合議によって各部門の受賞作品を選出します。この選定委員には、「レコード芸術」誌の新譜月評を担当する専門家も含まれます。各部門の特性に応じた専門的な視点から、作品の芸術性、演奏の質、録音技術などが総合的に評価されます。

2. 第2次選考（大賞、銀賞、銅賞）:
第1次選考で選ばれた各部門賞の中から、さらに全選定委員による投票が行われます。この投票結果に基づき、最も多くの票を獲得した作品に「大賞」、次点に「銀賞」、さらにその次点に「銅賞」が授与されます。これにより、その年の最も優れたクラシック録音が決定されます。

受賞部門

レコード・アカデミー賞は、クラシック音楽の多様なジャンルや形式を網羅するため、多岐にわたる部門が設けられています。主な部門は以下の通りです（合計15部門）。

交響曲部門
管弦楽曲部門
協奏曲部門
室内楽曲部門
器楽曲部門
オペラ部門
声楽曲部門
音楽史部門
現代曲部門
特別部門 吹奏楽
特別部門 ビデオ・ディスク コンサート＆ドキュメンタリー
特別部門 ビデオ・ディスク 舞台＆劇作品
特別部門 録音
特別部門 企画・制作
* 特別部門 特別賞

これらの部門設定により、様々な角度から優れた録音作品が評価される仕組みとなっています。

歴史と近年の変更

本賞は1963年に始まり、以来毎年欠かさず実施されてきました。通常、受賞結果は翌年の1月に発行される「レコード芸術」誌上で発表されてきました。しかし、2023年6月号をもって「レコード芸術」誌が休刊するという大きな転換期を迎えました。

これに伴い、2023年分のレコード・アカデミー賞の選考方法と発表形式に変更が生じました。この年は「ONTOMO MOOKレコード・アカデミー賞」と銘打たれ、従来の合議・投票による大賞等の決定ではなく、2023年中に「レコード芸術」誌（休刊前）および関連媒体で「特選盤」として選出された作品の中から、各選定委員（評者）がそれぞれの独自のベストランキングを発表するという形式が採用されました。その結果は、ムック本『レコード芸術2023年総集編』に掲載される形で公表されました。

このように、媒体の変更に伴う一時的な選考形式の見直しはあったものの、レコード・アカデミー賞は日本のクラシック音楽録音の質向上と普及に寄与し続けている重要な存在です。その歴史と権威は、今後も日本のクラシック音楽ファンや音楽家にとって注目の的であり続けるでしょう。

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