レジェンズ・フットボール・リーグ

レジェンズ・フットボール・リーグ（Legends Football League、略称LFL）は、アメリカ合衆国で活動する女性によるインドア・アメリカンフットボールのプロフェッショナルリーグです。かつては「ランジェリー・フットボール・リーグ（Lingerie Football League）」として知られていましたが、名称やユニフォームの変更を経て、2020年からは「エクストリーム・フットボール・リーグ（Extreme Football League）」、通称「Xリーグ」として運営されています。なお、日本の社会人アメリカンフットボールリーグも「Xリーグ」という名称を使用していますが、両者に組織的な関連はありません。

歴史と発展

このリーグの起源は、2004年にスーパーボウルのハーフタイムに合わせて開催された「ランジェリーボウル」に遡ります。この単発イベントはペイ・パー・ビューで全米数百万人に視聴され、大きな反響を呼びました。この成功を基に、2009年には常設リーグとしての「ランジェリー・フットボール・リーグ（LFL）」が設立され、リーグ戦が本格的にスタートしました。初期には元NBA選手のデニス・ロッドマンがコミッショナーを務めたことでも話題となりました。リーグのオフィスはカリフォルニア州ウェスト・ハリウッドに置かれ、試合はテレビ放送を通じて多くの視聴者に届けられました。日本では2011年からWOWOWが放映権を取得し放送されました。国際展開も積極的に進められ、2012年にはLFLカナダが発足し、その後オーストラリアやヨーロッパへの拡張計画、さらには世界一決定戦「LFLワールドボウル」の開催構想も具体化しました（2014年にブラジル・サンパウロでの第一回大会が予定されていました）。

リーグは設立から数年を経て変革期を迎えます。ユニフォームへの批判やスポーツ性の向上を目指し、2013年シーズンに名称を「レジェンズ・フットボール・リーグ」に変更。大会名も「ランジェリーボウル」から「レジェンズ・カップ」となりました。略称はLFLのまま維持されました。LFLとして10周年を迎えた2019シーズンを最後にリーグは解散し、翌2020年から「エクストリーム・フットボール・リーグ（Xリーグ）」として新たなスタートを切ることになりました。しかし、この再始動はCOVID-19パンデミックの影響で延期され、実際にリーグが再開されたのは2022年6月10日となりました。

独自のプレースタイル

Xリーグ（旧LFL）は、インドアフットボールと同様のフルコンタクト形式で試合が行われます。一般的な11人制のアメリカンフットボールとは異なり、両チームから7人ずつの選手が出場する7人制を採用しており、コンチネンタル・インドアフットボールリーグと同サイズの50ヤード（約45.7メートル）フィールドで対戦します。エンドゾーンの深さは8ヤードです。

試合は10分ずつの4クォーター制で行われ、ハーフタイムは12分です。同点の場合は8分間のサドンデス方式の延長戦が実施されます。攻撃側は4回のプレイでファーストダウンの獲得を目指しますが、フィールドゴールはなく、第4ダウンでも基本的に攻撃を続けます。ただし、自陣10ヤード以内からはパントを選択することも可能です。タッチダウン後のトライフォーポイントは、1ヤード地点からのプレイ成功で1点、3ヤード地点からのプレイ成功で2点となります。

各チームは最大20名の選手を登録できますが、1試合に出場できるのは14名までと制限されています。このため、多くのチームでは複数の選手がオフェンスとディフェンスの両方でプレイする攻守兼任のスタイルが一般的です。典型的な攻撃フォーメーションはQB1人、RB2人、センター1人、WR3人、守備フォーメーションはディフェンスライン2人、ラインバッカー2人、コーナーバック2人、セイフティ1人といった構成が見られます。

所属する選手の多くは、陸上競技、テニス、バレーボール、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、ボディビルディングなど、大学やセミプロレベルでの多様なスポーツ経験を持っています。中にはセミプロレベルでのフットボール経験を持つ選手もいます。

ユニフォームの変遷

リーグが「ランジェリー・フットボール・リーグ」として始まった当初、その最も特徴的な要素であり、同時に大きな批判の対象となったのがユニフォームでした。選手はヘルメットやショルダーパッドなどの防具に加え、露出度の高いブラジャーとパンティーを基本とするランジェリー風のユニフォームを着用していました。これには装飾としてレースやリボン、ガーターなどが加えられており、メディアや一般からの批判が絶えませんでした。選手たちの間でも、陸上競技やビーチバレーのユニフォームと比較して露出度を擁護する意見と、安全面への懸念から批判的な意見の両方がありました。肌の露出が多いことで、選手たちは怪我のリスクにさらされやすかったという問題も指摘されました。

2013年に「レジェンズ・フットボール・リーグ」へ改称するのに伴い、ユニフォームもランジェリーから「パフォーマンスアパレル」へと変更されることが発表されました。ショルダーパッドも選手の保護を強化するために再設計されましたが、見た目の露出度はそれほど大きく変わりませんでした。しかし、2014年からはさらに変更が進み、バレーボール選手のユニフォームに近い、より伝統的なアクティブウェアへとデザインが一新されました。以前のようなリボンは廃止され、上下の前面に靴ひも状の装飾が施されるようになりました。その後もユニフォームには変化があり、2016年には新色の導入やロゴ・背番号のプリント化、迷彩柄などのオルタネートユニフォームが選択可能になりました。2017年にはホーム最終戦限定でロングパンツのユニフォームも登場しています。そして、「エクストリーム・フットボール・リーグ」として再始動を発表した2020年には、保護性能を高めたフルパッドを備えた新しいユニフォームが導入される予定でしたが、リーグの再開延期に伴い、実際の使用は2022年シーズンからとなりました。

チームと日本人選手

リーグには、設立当初からアメリカ合衆国内の主要都市を拠点とするチームが存在し、シーズンごとに編成や本拠地の移動などが行われてきました。過去にはカナダにもリーグが展開されていました。

特筆すべき日本人選手としては、濱口芙由紀（はまぐちふゆき）選手が挙げられます。彼女はLFL史上初の日本人選手として知られています。三重県志摩市出身の濱口選手は、女子アメリカンフットボールのWFAリーグでの経験を経て、2019年にLFL時代のロサンゼルス・テンプテーションへ移籍しました。リーグがXリーグへ移行した後も、ロサンゼルス・ブラック・ストームに所属しプレイを続けています。アスリートとしての活躍に加え、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校を卒業後、法科大学院に進み、カリフォルニア州の弁護士資格も取得しているという異色の経歴の持ち主です。

Xリーグは、そのユニークな歴史、特徴的なユニフォームの変遷、そして激しいフルコンタクトのプレースタイルで、今後も注目を集める存在と言えるでしょう。

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