レジェンド・オブ・レギオス

『レジェンド・オブ・レギオス』は、雨木シュウスケ氏による日本のライトノベル作品です。本作は、Style-F（富士見書房）から単行本版が、後に富士見ファンタジア文庫から文庫版が刊行されました。イラストは深遊氏が担当しています。

概要

雨木シュウスケ氏の3作目であり、富士見ファンタジア文庫で発表されているライトノベル『鋼殻のレギオス』の過去の世界を舞台としたSF作品です。『鋼殻のレギオス』と比較して、よりハードボイルドな雰囲気が特徴で、人間の死などの描写もより直接的になっています。物語は、人々が「オーロラ・フィールド」と呼ばれる人工の亜空間で生活する世界を舞台に展開されます。特殊な能力を持つ男アイレインと謎の少女サヤとの出会いから、オーロラ・フィールドを生み出した科学者との戦い、そして『鋼殻のレギオス』の世界が創世されるまでの顛末が描かれます。

物語の背景

人口増加と宇宙開発の失敗により、「資源戦争」と呼ばれる世界規模の戦争が勃発。世界が荒廃した後、「アルケミスト」と呼ばれる科学者チームが開発した技術「オーロラ・フィールド」によって戦争は終結しました。

オーロラ・フィールド

オーロラ・フィールドは、実質的にゼロの領域に無限の空間を作り出す技術、およびその技術によって作り出された人工の亜空間です。外周は亜空間を固定するためのオーロラで覆われており、空間内の物資も自由に作り出せます。しかし、オーロラ・フィールドの増設が過剰になった結果、亜空間同士が絶縁を起こし、人々は自分の住む亜空間から外に出られなくなってしまいました。現在、亜空間は孤立した国のような状態になっています。

オーロラ粒子

オーロラ・フィールドは、「亜空間増設機」と呼ばれる永久機関が生成する特殊な粒子「オーロラ粒子」から生成されます。オーロラ粒子は「人の思念に反応して新しい世界を形成する」性質を持ち、人間の願望に反応して、その人間を「異民」へと変貌させます。異民は、元の世界の法則ではありえない特殊能力を発揮します。

絶縁空間とゼロ領域

「絶縁空間」は、亜空間同士の相互干渉によって生まれたとされる、亜空間を包むオーロラの向こう側にある空間です。この空間のために、人々は別の亜空間に移動することができなくなりました。「ゼロ領域」は、人の思念に反応して亜空間を形成する前の、オーロラ粒子のみが充満している空間です。絶縁空間もゼロ領域の一種であり、そこでは個々人の願望にオーロラ粒子が反応し、それぞれに異なる世界を創造します。

アルケミスト

オーロラ・フィールドの技術を開発した科学者チーム。現在は、オーロラ・フィールドの原理を理解していない科学者の組織を指します。亜空間増設機の不具合によりオーロラに穴が空き、異民化する問題が多発しており、それに対処する「サイレント・マジョリティ」と言う組織が結成されています。

ナノセルロイド

ナノマシンの集合体であり、オーロラ粒子を収集してエネルギーに変換し作動します。自己増殖により修復するため、破壊が困難です。絶縁空間探査用の機械として開発されましたが、現在は対異民用の兵器としても利用されています。

ストーリー

物語は、「絶界探査計画」から始まります。探査メンバーのアイレインは、絶縁空間で妹に似た少女サヤと出会い、共に帰還します。サヤが安全に暮らせる場所を探すため、アイレインは研究所を脱走し、アルケミストの一人エルミ・リグザリオと出会い、旅をすることになります。アイレインは巡視官ドミニオのエージェントとして異民を追いながら、「サイレント・マジョリティ」に追われることになります。そして、アルケミストのリーダーであった科学者イグナシス、妹ニルフィリアと対面します。イグナシスの手によって全てのオーロラ・フィールドは崩壊しゼロ領域と化し、住民はすべて魂だけの状態となってゼロ領域に叩き込まれます。アイレインは自身の存在意義を果たそうとするサヤの願いを叶えるため、エルミはイグナシスへの復讐のため、新たな亜空間を作り出す。サヤはゼロ領域に叩き込まれた人々の魂を自らの中に納め、エルミは新たに作り出した亜空間の中でサヤの中にある魂の器となる肉体と、彼らが暮らすための「移動する都市」を建設する。アイレインはそれを阻止せんとするイグナシスを異民能力によって自らの右目に封印し、サヤを見守るために亜空間の月となって昇っていく。エルミが建設した移動する都市の動力源となったサヤは、都市の人々の生活を見守りながら、アイレインの帰りを待ち続ける。
物語の終盤にエルミによって作られた亜空間が、『鋼殻のレギオス』の舞台となる世界であり、ストーリーは『鋼殻のレギオス』や『聖戦のレギオス』の物語に続いていきます。

主な登場人物

アイレイン・ガーフィート: 主人公。妹を探す探査員。サヤと出会い、共に旅をする。
サヤ: 絶縁空間で出会った少女。記憶を失っている。ゼロ領域で人が生きていくための緊急避難所として作られた楽土
ドミニオ・リグザリオ: 巡視官。アイレインとサヤをエージェントとして雇う。
エルミ・リグザリオ: オーロラ・フィールドを開発した初代アルケミストの一人。
ソーホ: 現アルケミストの一人。「サイレント・マジョリティ」の責任者。
レヴァ: サイレント・マジョリティが開発したナノセルロイドの1号機。
イグナシス: オーロラ・フィールドを開発した初代アルケミストの一人で、チームリーダーだった男。他のオーロラ・フィールドから絶縁空間を越えてやって来た。
ニルフィリア・ガーフィート: アイレインの妹。絶縁空間内でイグナシスと出会う。

既刊一覧

リグザリオ洗礼レジェンド･オブ･レギオス
イグナシス覚醒レジェンド･オブ･レギオスII
レギオス顕現レジェンド･オブ･レギオスIII

関連作品

鋼殻のレギオス
* 聖戦のレギオス

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