レッドデータブック

レッドデータブックについて

レッドデータブック（RDB）は、絶滅の危機に瀕している野生生物に関する包括的な情報を提供するための文献です。この図書は、種の保全状況、分布、生態及びそれに影響を与える要因に関する詳細を記録しています。最初に作成されたのは1966年で、国際自然保護連合（IUCN）が中心となって設立されました。今では、各国や多くの団体が独自にレッドデータブックを制作しています。

日本において「レッドデータブック」と言えば、通常は環境省が発行した版もしくはIUCNによるものを指します。ここでは、特に環境省が作成したものに焦点を当て、他の団体によるレッドデータブックについては、その後に触れます。

環境省によるレッドデータブック

環境省が発行するレッドデータブックは、同省が定めたレッドリスト（絶滅の危険がある動植物の一覧）に基づき、具体的な情報を集めたものです。このレッドデータブックは通称であり、正式名称は「日本の絶滅のおそれのある野生生物」というものです。その後、1995年からの見直しを経て改訂版が出版され、さらに2014年度には最新のレッドデータブックが登場しました。

レッドデータブックの主な目的は、絶滅の危機にある野生生物の現状を正確に把握することです。この情報は、希少野生動植物の法律的な保護の根拠となり、また絶滅危惧種の保全策や環境アセスメントに活用されることが期待されています。さらに、一般市民への啓蒙活動に資する役割も果たしています。

情報の公開

環境省は、効果的な情報公開にも力を入れており、ウェブ上で絶滅危惧種の情報を容易に検索・閲覧できるページを編集しています。加えて、NPO法人によって集められた地方公共団体の情報がまとめられた「日本のレッドデータ検索システム」も利用されています。

作成の経緯

RDBの起源は、1986年に環境庁自体の内部で野生生物課が設立されたことに遡ります。1991年には、財団法人自然環境研究センターから『脊椎動物編』及び『無脊椎動物編』が出版されました。以後、IUCNのレッドリスト改定があったことで内容の見直しが求められるようになり、特に植物に関しても他の団体によって作成された資料が重要視されました。

1995年以降、環境省は動植物を9つの分類群に分け、それに基づいてレッドリストを整備しました。これに従い改訂版を作成し、2006年までに全9巻が発行されました。

改訂プランに基づいて、2014年には新たなレッドデータブックが発行され、「レッドデータブック2014」として各分類群ごとに書籍化されました。これにおいては、「陸・淡水産貝類」と「クモ形類・甲殻類」も新たな名称に変更され、より広範な情報提供がなされました。

その他の団体によるレッドデータブック

日本国内では、環境省の他に多くの学術団体や地方公共団体がそれぞれのレッドデータブックを発刊しています。水産庁からは「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」が発行されており、これは海の生物まで含めて記載しています。また、1997年には日本哺乳類学会からもレッドデータブックが発行され、より詳細な情報収集が進められています。地方自治体でも、独自にレッドデータブックを作成し、その範囲は環境省版よりも広い場合があります。

こうしたレッドデータブックは、単に動植物に留まらず、地域の自然環境や生態系全体を評価する材料としても重要な役割を担っています。これにより、環境保護活動に参加する市民の理解を得て、持続可能な社会の実現を目指すことが期待されています。

もう一度検索