レッドブル・RB13

レッドブルRB13：2017年シーズンの軌跡

2017年のF1世界選手権を戦ったレッドブル・レーシングのRB13は、チームのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイの深い関与のもと、大幅に変更された空力レギュレーションに対応して開発されました。2月26日に発表されたRB13は、多くのチームが採用した大型のシャークフィンと、ノーズ部分に設けられた特徴的な吸気口が目を引くマシンでした。当初設計されたトリックサスペンションはFIAによって違法と判断され、開幕前にデザイン変更を余儀なくされたことも特筆すべき点です。

また、2007年から2016年までルノーエンジンとトタル燃料の組み合わせを使用していたレッドブルですが、2016年12月にエクソンモービルと大口スポンサー契約を締結。RB13ではエクソンモービルの燃料が供給されることとなりました。ドライバーは前年シーズンから引き続き、ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンが務めました。

2017年シーズンは、パワーユニットの信頼性とパワー不足がチームを悩ませる大きな要因となりました。メルセデスとフェラーリの後塵を拝する展開が続き、特にシーズン前半はフェルスタッペンが度重なるマシントラブルに見舞われました。信頼性の低さは深刻で、アゼルバイジャンGP終了時点では、全チーム中最下位の総走行周回数という事態に陥っていました。

しかし、リカルドは完走できたレースで着実にポイントを獲得し、アゼルバイジャンGPでは見事優勝を飾るなど、チームに貢献しました。シーズン後半戦のアジアラウンドでは、メルセデスの苦戦やフェラーリの不振も追い風となり、リカルドはシンガポール、マレーシア、日本GPの3戦連続で表彰台を獲得しました。フェルスタッペンもマレーシアGPでの優勝を皮切りに上位入賞を重ね、メキシコGPでも優勝を達成しました。

しかし、終盤戦は再び信頼性の問題に苦しめられます。リカルドはブラジルGPを除く数レースでマシントラブルによるリタイアを喫し、ドライバーズランキング4位を逃す結果に終わりました。フェルスタッペンもメキシコGP以外のレースではPUの不調に苦しみ、表彰台争いどころか順位維持にも苦労するレースが続きました。

コンストラクターズランキングでは、一時は2位のフェラーリに迫るなど健闘を見せましたが、シーズンを通してパワーユニットの信頼性問題に悩まされた結果、目標達成には届きませんでした。

以下にRB13のスペック詳細を示します。

シャシー:
シャシー名：RB13
シャシー構造：カーボンファイバー/ハニカムコンポジット複合構造モノコック、タグ・ホイヤー（ルノー）V6エンジン搭載（ストレスメンバー）
ギアボックス：縦置き8速＋リバース1速 油圧式パワーシフト&クラッチ・オペレーション
ホイール：O・Z
タイヤ：ピレリ
サスペンション：アルミニウム合金製アップライト、カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド（フロント）/プルロッド（リア）式トーションバー&アンチロールバー
ブレーキキャリパー：ブレンボ
ブレーキディスク・パッド：ブレンボカーボンファイバー製ディスクブレーキ
エレクトロニクス：MES スタンダードECU
燃料：エクソンモービル
重量：冷却水、潤滑油、ドライバーを含めて728kg

エンジン:
エンジン名：タグ・ホイヤー（ルノー R.E.17）
気筒数・角度：V型6気筒・90度
排気量：1,600cc
最高回転数：15,000rpm(レギュレーションで規定)
バルブ数：24
出力：900bhp
重量：145kg
* 潤滑油：エクソンモービル

RB13は、優れた空力性能を備えたマシンでしたが、パワーユニットの信頼性不足が結果に大きく影響したシーズンとなりました。 リカルドとフェルスタッペンの活躍にもかかわらず、この問題を克服することができなかった点が、2017年シーズンのレッドブル・レーシングの大きな課題でした。

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