レッドブル・RB16

レッドブルRB16＆RB16B：2020-2021年シーズンの挑戦

レッドブル・レーシングは、2020年と2021年シーズン、それぞれRB16とRB16Bという2台のF1マシンを駆り、世界選手権を戦いました。本稿では、両マシンの設計コンセプト、開発過程、そしてシーズンを通しての活躍について詳細に解説します。

RB16：進化と苦悩の2020年

2020年2月、レッドブルはRB16を発表。エイドリアン・ニューウェイ率いる設計陣は、前傾姿勢という独自のコンセプトを踏襲しました。これは、フロントを高くすることでダウンフォースを稼ぐ戦略です。しかし、レギュレーション変更の影響もあり、このコンセプトの有効性を最大限に引き出すには、数々の困難が待ち受けていました。

RB16は、メルセデスのような細いノーズやフェラーリのアイデアを取り入れたノーズ下部など、革新的なデザインが特徴でした。フロントサスペンションは、従来の前後分断式アッパーアームから通常型に変更。その一方でロワアームをマルチリンク化し、リアサスペンションもメルセデス型に進化させました。

しかし、開発は順風満帆ではありませんでした。特に、リアの挙動や低速コーナーでのアンダーステアに苦戦。シーズン中盤にはフロントウイングの大幅なアップデートや、リアサスペンションアーム、ノーズステーなどの改良が繰り返されました。これらの修正は、2019年に続き、2020年もマシン開発の遅れに繋がりました。

ドライバーはマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンのコンビ。プレシーズンテストでは好調でしたが、シーズン開幕後はPUトラブルやマシンの不安定な挙動に悩まされました。特に、得意としていたはずのサーキットでさえ、思うようにタイムが出ない場面も多く見られました。

しかし、70周年記念GPではフェルスタッペンが今季初勝利。その後も表彰台を獲得するなど、終盤にかけては力強い走りを見せました。最終戦アブダビGPでは、フロントウイングとノーズの改良が功を奏し、フェルスタッペンはポール・トゥ・ウィンを達成。チームはコンストラクターズランキング2位を獲得しました。

RB16B：タイトル争いへ挑んだ2021年

2021年シーズンには、RB16をベースに改良を加えたRB16Bが登場。新型コロナウイルスの影響によるレギュレーション変更で、大幅な開発は制限されました。しかし、レッドブルはトークンシステムを利用して、ギアボックスとリアサスペンションに改良を加えました。

RB16Bは、RB16が抱えていたトラクション不足やリアのスタビリティ不足を解消。しかし、空力特性の問題は残っており、特にダウンフォースが重要なコーナーではセットアップに苦労しました。

ドライバーはマックス・フェルスタッペンと、新たにセルジオ・ペレスが加入。プレシーズンテストでは好調で、タイトル争いに挑む体制が整いました。

開幕戦バーレーンGPではフェルスタッペンがポールポジションを獲得。シーズンを通して激しいメルセデスとのタイトル争いを展開し、数々の勝利を挙げました。しかし、幾度かのマシントラブルや、レース中のアクシデントも発生。タイトル争いは最終戦まで縺れ込み、最終的にフェルスタッペンが世界チャンピオンに輝きました。

マシンスペック

RB16とRB16Bは、どちらもカーボンコンポジット複合構造モノコックを採用。ホンダ製パワーユニットを搭載し、OZレーシングのホイール、ピレリのP-ZEROタイヤを使用しました。サスペンションは、フロントとリア共にダブルウィッシュボーン式で、ブレーキはブレンボ製でした。エンジンは、RB16がRA620H、RB16BがRA621Hで、どちらもV型6気筒1600ccの自然吸気エンジンでした。

結論

RB16とRB16Bは、レッドブル・レーシングの歴史において重要な役割を果たしたマシンです。2020年の開発難航を乗り越え、2021年には見事なタイトル獲得をもたらしました。これらのマシンは、レッドブルとホンダの技術力と、ドライバーたちの高いスキルが融合した結果であり、F1の歴史に名を残すマシンと言えるでしょう。

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