レッドマン・プリンセス -悪霊皇女-

『レッドマン・プリンセス -悪霊皇女-』は、高遠るい氏が手掛けた漫画作品で、『チャンピオンRED』（秋田書店）にて2017年9月号から2018年5月号まで連載されました。本作は、ネイティブアメリカンの英雄テカムセが、現代日本の女子高生・暁宮星子の体を借りて蘇り、アメリカ合衆国に戦いを挑むという、斬新な設定が特徴です。

作品の背景

作者の高遠氏は、2015年に集団的自衛権の行使が容認されたことを受け、「自衛隊がアメリカ軍の二軍になる」という危機感から本作の執筆を開始したと語っています。また、将来的に「あの時代に、国や社会が壊れていくのを黙って見ていたのか」と問われたくないという思いも、執筆の動機の一つとなっています。さらに、保守派が盲信する日米同盟の危険性を描くという意図も、作品には込められています。

本作は、映画『マニトウ』、『グリズリー』、『アニマル大戦争』といった作品からの影響も受けており、ウィリアム・ガードラー監督の40回忌記念作品としても位置づけられています。

あらすじ

物語は、200年前のアメリカで、白人による植民地化に抵抗し戦死したネイティブアメリカンの勇者テカムセが、死の直前に誓った「白人の皆殺し」を果たすべく、現代に蘇ることから始まります。テカムセは、日本の女子高生・暁宮星子に憑依し、アメリカ合衆国との戦いを再開します。

主な登場人物

暁宮星子（あけのみや しょうこ）
2001年6月6日生まれの高校1年生。皇族の血を引くため、周囲からは「星子さま」と呼ばれています。内向的な性格で体が弱い少女ですが、親友のクリスから誕生日プレゼントとして贈られたネックレスを身に着けたことで、テカムセに憑依されてしまいます。
テカムセ
実在したネイティブアメリカンの勇者。白人による植民地化に抵抗し戦死しましたが、21世紀の日本で、星子の体に憑依する形で復活を遂げます。マニトウと呼ばれる超能力を使い、横田基地を襲撃するなど、圧倒的な戦闘能力を発揮します。白人への強い憎悪を抱いており、黒人兵士は見逃すなどの行動を取りますが、自身が攻撃された場合は、白人以外も殺傷します。マニトウの力を使いすぎると、星子の体がもともと虚弱であるため、すぐに力尽きてしまうという弱点も抱えています。
屋敷クリス（やしき クリス）
星子の親友。星子とは対照的に、ケンカっ早い性格です。曾祖父の代までは貴族でしたが、現在は没落しています。星子の誕生日に贈ったネックレスが原因で、星子がテカムセに憑依されてしまったことに責任を感じており、星子を元に戻すために、テカムセと行動を共にします。
東儀英音（とうぎ あやね）
日本の第97代総理大臣。若々しい外見をしていますが、55歳で、緊張すると失禁する癖があります。理知的とは言えない人物として描かれています。

書誌情報

高遠るい『レッドマン・プリンセス -悪霊皇女-』 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉、全2巻
2018年1月19日発売 ISBN 978-4-253-23871-7
* 2018年5月18日発売 ISBN 978-4-253-23872-4

『レッドマン・プリンセス -悪霊皇女-』は、歴史的な背景や社会的なメッセージを織り交ぜながら、アクション、ファンタジー、そして友情といった様々な要素が絡み合う、見応えのある作品です。テカムセと星子、そしてその周りの人物たちの運命が、読者を惹きつけます。

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