レッド・ミラージュ

レッド・ミラージュ：ファイブスター物語を象徴する最強兵器

レッド・ミラージュ(L.E.D. MIRAGE)は、永野護氏による漫画『ファイブスター物語』において、光皇・天照帝率いるミラージュ騎士団が運用するモーターヘッド(MH)です。物語における最強のロボットとして、その圧倒的な存在感は作品世界を象徴する存在となっています。本稿では、その詳細な設定や活躍について解説します。

開発と設計

ミラージュ騎士団の主力MHであるレッド・ミラージュは、アマテラスを主設計者、Dr.クローム・バランシェが制御サーキットを担当しました。「モーターヘッド」とは呼ばれず、「モーターメシア」「モーターカイザー」といった呼び名も存在します。試作段階では「ブラッド・ネイチャー」と呼ばれていました。L.E.D.はLEADの過去分詞で「常に先を行くもの」を意味し、その名に相応しく、物語を通して一度も敗北を喫していません。

ホーンド・ミラージュやK.O.G.シリーズを基に、多数のテスト機を経て開発されました。L.E.D.ドラゴンを模したデザインは、後のミラージュマシンの基礎となっています。スーパー・イレーザーエンジンを両脚に搭載することで、従来の胸部搭載型MHに比べて優れたウェイトコントロールを実現しています。このエンジンはホーンド・ミラージュと比べて1.5倍の出力を誇り、出力バランスも向上しています。

複数のレッド・ミラージュは「RAID-GIG」システムによってデータリンクされ、ファティマの演算能力を共有することで、大規模な戦闘でも連携した効率的な戦闘を可能にしています。しかし、その本質は「破壊と殺戮」であり、味方であるL.E.D.と「血の十字架」をつけた者以外を攻撃対象とします。ナイト・オブ・ゴールドのみに服従し、騎士とファティマは、その本能を抑えるための安全装置としての役割を担っています。出動にはアマテラスの許可と、騎士とファティマの認証が不可欠です。

圧倒的な戦闘力と希少性

レッド・ミラージュは星団史上7回しか実戦に参加しておらず、その姿を見た者はほとんどいません。一般には正式名称すら知られておらず、「殺戮ロボット、アマテラスの幻像騎士団の白い悪魔」という呼び名で知られています。その残虐な戦闘行為から、騎士の人権擁護のため、MHのナンバリングはミラージュ騎士のナンバーと一致していません。

武装とバリエーション

初期のレッド・ミラージュは近接戦闘用の剣を使用していましたが、後にバックパック式の燃料槽から供給されるリキッドRを強力な電圧で放射する火炎放射器「インフェルノ・ナパーム」を装備しました。この火炎は霊的な存在をも焼き尽くすほどの威力を持っています。砲身を動かすことで巨大な剣のように使用することも可能です。対MH戦は想定されておらず、MHをはるかに超える耐久性と拡張性を備えています。固定主武装は頭部のレーザーカッターのみで、文字通りの「最後の手段」です。その他、全身に多数の対人・対兵器火器や光学兵器を装備しています。

様々なバリエーションが存在し、年代によって装甲や装備が異なります。2989年のコーラス-ハグーダ戦争では先行量産型3機が投入され、3007年にはバージョン3が正式公開されました。3159年のアドラー星侵攻では、15機だけでアドラー星を制圧したとされています。サポート用や儀礼用の特殊な機体も存在します。さらに、Dr.ダイアモンド・ニュートラルが設計したサブリミテッド・ナンバーの3機は、アマテラスが提供したエンジンと装甲以外、他のレッド・ミラージュとは大きく異なるデザインとなっています。

劇中での活躍と謎

コーラス-ハグーダ戦争、アドラー星侵攻、ボォス侵攻など、重要な戦闘に投入されましたが、その登場回数はわずか7回です。その圧倒的な戦闘力は、対戦相手を星団史に名を残すほどの存在にまで高めるほどです。

アマテラスは魔導大戦で2度、レッド・ミラージュの出撃を検討しました。しかし、その圧倒的な力ゆえに、使用には大きなリスクが伴います。

デザインの起源と設定変更

レッド・ミラージュのデザインは、『重戦機エルガイム』の企画時に作られたヘビーメタル「ブラッド・テンプル」が基となっています。連載開始当初は「他軍より少し強い」MH程度の存在でしたが、連載後期には「神の代行者」としての側面が強くなっています。

まとめ

レッド・ミラージュは、その圧倒的な力と謎めいた存在感で『ファイブスター物語』の世界観を彩る象徴的な兵器です。そのデザイン、性能、そして物語における役割は、多くのファンを魅了し続けています。数少ない実戦投入にもかかわらず、その存在感は、作品世界に深く刻まれています。

もう一度検索