レバノン軍

レバノン軍（LAF）の概要

レバノン軍、通称LAF（Lebanese Armed Forces）は、陸軍、海軍、空軍の三つの軍から成り立ち、レバノンの国軍として国内外で重要な役割を果たしています。LAFの主な任務は、宗派間のトラブルの調整を含む国内の治安維持や安定、国境および港の警備、さらには救助活動や消防活動、麻薬密輸の取り締まりなど多岐にわたります。さらに、内戦や外部からの攻撃で破壊されたインフラの復興、地雷除去も重要な任務の一環です。

LAFの司令部は首都ベイルートの東に位置するヤルゼにあり、ここから陸軍、海軍、空軍の各部隊が指揮されています。軍の教育機関としては、6つの軍関係大学や学校が存在し、士官候補生の多くは他国で追加の教育を受けることもあります。

装備と歴史

レバノン軍の装備の約85%はアメリカ製です。残りは、イギリス製やフランス製、旧ソ連製などが含まれています。内戦前はフランス製装備が主流でしたが、その後アメリカによる供給が主軸となり、内戦末期にはイラクからのソ連製装備が海を越えて供与されました。内戦後には再びアメリカからの支援が復活し、様々な宗派の民兵組織から回収した装備も利用されています。2006年のレバノン侵攻では、戦闘機の直接交戦はなかったものの、LAFの部隊や施設はイスラエル軍の攻撃にさらされました。停戦後、国連の支援を受けて南部への進駐が開始されました。

陸軍とその役割

レバノン陸軍は、約71,800人から構成され、国内は5つの管区に分けられています。主な作戦単位は13の旅団であり、それ以外にも独立特殊作戦大隊や砲兵連隊が存在します。使用されている装備には、アメリカ製のM16ライフルやM60戦車などがありますが、ソ連製やフランス製の装備も含まれています。特に陸軍は、様々な小火器や戦車、兵員輸送車両を保有し、地域の安定を維持するための重要な役割を果たしています。

海軍の状況

レバノン海軍は、限られた艦艇を保有し、特に哨戒艇やモーターボートが中心です。内戦中はほとんど活動できず、その後の復興段階ではドイツからの中古艦艇の供与がありました。海軍は、レバノンの主権を守るための役割を果たす一方で、壮大な過去の海戦を乗り越えるための課題が求められています。

空軍とその役目

レバノン空軍は、一時期深刻な戦闘能力の喪失を経験しました。現在、主に運用されているのはヘリコプター及び少数の航空機であり、民間活動や救助活動へシフトしています。防空能力は乏しいものの、最近ではロシアからのMiG-29の供与がどうなるかが注目されています。

情報活動と徴兵制度

レバノン軍の情報活動は、諜報機関の軍事情報部によって担われており、政治的にも複雑な背景があるとされます。また、1980年代には徴兵制が導入されましたが、内戦の影響で実施されることはほとんどありませんでした。内戦終結後は、国防意識を高めるための制度が模索されています。各宗派間の連携を強化し、軍隊全体の統一を目指すこれらの取り組みは、今後のレバノンの安定に寄与することでしょう。

現代のレバノン軍は、経済的な困難にも直面しており、軍の維持や近代化において大きな挑戦が続いています。

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