レプス・コルヌトゥス

レプス・コルヌトゥス（角野兎）

レプス・コルヌトゥス、別名ホーンド・ヘアは、かつて実在する生物として信じられていたが、現在では空想上の動物と見なされています。16世紀から18世紀にかけて、さまざまな文献で記述されてきました。この生物は、中世からルネサンス初期にかけての文献に多く登場し、実在と想像の間で描かれてきたのが特徴です。

科学的記述の変遷

レプス・コルヌトゥスは、フランスの作家ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエリ』の中で言及されているほか、コンラート・ゲスナーの『動物誌』で実在の動物として説明されたのが最初のようです。以降、多くの動物に関する科学書では、同様の記述が繰り返されました。たとえば、ジョン・ジョンストンの著作や、ヘンドリック・ルイシによる著作にも同様の挿絵が載せられています。

1662年、ガスパー・ショットは彼の著作『Physica curiosa』で角野兎を取り上げ、イラストが添えられました。また、1687年にはガブリエル・クラウダーがこの動物に関する論説を発表しています。1743年にはヤーコプ・テオドール・クラインが新たなイラストを作成しました。

ピエール・ジョゼフ・ボナテールの1789年の文献『Tableau Encyclopedique et Methodique』が、角野兎に関する主要な科学的記述の最後と見なされています。その後、18世紀末から19世紀初頭にかけて、このウサギの実在性を否定する意見が広まりましたが、時折、希少種とする意見も見られました。さらに、実際にはショープ乳頭腫ウイルスに感染した野兎が原因で目撃情報がもたらされた可能性も指摘されています。

画像や芸術作品における描写

ヤン・ブリューゲル（父）が描いた「花と果物に囲まれた聖母子」の中には、右下の部分に角野兎が描かれています。また、アントニオ・テンペスタは書籍『Nuova raccolta de li animali più curiosi nel mondo』に2匹の角野兎を描写しました。これらの描写は、その美術的価値とともに当時の人々の想像力を反映しています。

実際の動物に関する報告

角野兎に関する記述は、ルドルフ2世のコレクションや、フランスの科学者ニコラ＝クロード・ファブリ・ド・ペーレスクの記録にも見られます。彼は1606年、ルーヴェンで2匹の角野兎に遭遇しましたが、そのうちの1匹は彼が到着する前に亡くなっていたとのことです。さらに1673年にはジョン・レイがデュルフの薬局で「角野兎の頭部」を目にしたと記録していますが、その存在については疑問を呈しています。

関連する動物たち

他にも、角野兎のように角を持つとされる伝説の生物として、ドイツの伝説に登場するヴォルパーティンガーや、北米のジャッカロープといった存在があります。いずれも科学者によって実在の動物とは見なされていません。また、イスラムの伝説には一角の野兎アルミラージが登場し、肉食性とされている点で角野兎とは異なります。

このように、レプス・コルヌトゥスは多くの文献や記録に名を残しながら、現代に至っても空想上の生物として語り継がれています。

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