レモン・インセスト

レモン・インセスト (Lemon Incest)

「レモン・インセスト」は、フランスのシンガーソングライター、セルジュ・ゲンスブールが1984年に発表した楽曲です。この曲は、彼の娘であるシャルロット・ゲンスブールとのデュエットという特異な形式をとっています。1985年には、二人の名前が連名でクレジットされたシングルとしてリリースされました。

この楽曲は、セルジュのアルバム『ラヴ・オン・ザ・ビート』からシングルとしてカットされました。また、カップリング曲も同アルバムに収録されています。「レモン・インセスト」は、フレデリック・ショパンの「練習曲第3番」を基にセルジュが歌詞を手掛けたもので、内容は近親相姦を暗示させるテーマが含まれています。

特に注目を集めたのは、録音当時わずか13歳だったシャルロットとのデュエットである点です。シャルロットにとってはこの曲が歌手としてのデビュー作となり、その後の音楽キャリアの出発点ともなりました。

楽曲のミュージック・ビデオも非常に物議を醸しました。そこでは、セルジュが上半身裸で登場し、シャルロットはシャツとパンティだけを着用しているという、衝撃的なビジュアルが映し出されました。これに対してシャルロットは、2010年の『オブザーバー』のインタビューで「当時は全寮制の学校に通っていたので、この曲が大きなスキャンダルになっていることに気づかなかった」と回顧しました。さらに彼女は「私たちの関係は、父と娘の純粋な愛を表現したものであり、誤解されたくない」とも語っています。

「レモン・インセスト」は、シャルロットのアルバム『魅少女シャルロット』が1991年に再発された際に再び収録され、彼女の音楽的な足跡として残ることになりました。
また、この曲はその後、他のアーティストによってもカヴァーされています。中でも、ミック・ハーヴェイのアルバム『Intoxicated Man』では、英訳の歌詞でカヴァーされ、原曲とはまた異なる趣で楽しまれています。

こうした背景を持つ「レモン・インセスト」は、セルジュ・ゲンスブールの音楽の中でも特に印象深い一曲と言えるでしょう。この楽曲は、親子の深い絆や芸術におけるタブーなテーマを巧みに取り入れた作品であり、今なお多くの議論を呼んでいます。

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