レンアイ@委員

レンアイ@委員：恋と友情、そして成長の物語

令丈ヒロ子氏による児童文学作品『レンアイ@委員』は、小学5年生の女の子、大木話子（ワコ）の成長物語です。イラストは小笠原朋子氏が担当し、理論社のフォア文庫より全10巻と特別編1巻が刊行されています。

物語は、ワコが誤って届いたメールへの返事をきっかけに始まります。彼女は、美人でモデルをしている女の子“レンアイ@委員”を名乗り、悩み相談に答えます。この偶然の出来事が、ワコの人生を大きく変えることになります。

ワコの返事に感動した多くの女の子たちが、次々とレンアイ@委員に悩み相談のメールを送るようになります。ワコは親友の丘野なつめ（ナツメ）と共に、これらの相談に真剣に向き合い、それぞれの悩みに寄り添いながら解決策を探っていきます。恋愛相談から、友達関係、容姿に関する悩みまで、幅広い相談内容を通して、ワコとナツメは自身の経験や知識、そして想像力を駆使し、相談者たちに寄り添います。

物語の中で、ワコは単なる相談役としてだけでなく、相談者たちと深く関わり、友情を育み、時には自身の悩みと向き合うことで成長を遂げていきます。また、ナツメとの友情も物語の大きなテーマであり、互いに支え合い、励まし合う二人の姿は読者に深い感動を与えます。

登場人物たちはそれぞれ個性豊かに描かれています。主人公ワコは明るく楽しい性格で、ぱっちりとした二重瞼と太い眉毛が特徴的な丸顔、おかっぱ頭がトレードマークです。一方のナツメは、しっかり者でワコを支える存在。ワコの家族、姉二人、母親、そして友人関係、恋の芽生えなど、物語は様々な人間関係を通して、成長の過程を丁寧に描いています。

特に第5巻以降では、ワコの髪型やファッションが当時の流行を取り入れたものへと変化し、彼女の成長を視覚的にも表現しています。また、物語に登場する相談者たちも個性的で、それぞれの悩みや背景が丁寧に描かれています。例えば、最初の相談者である真帆や、ブラジャーデビューの悩みを抱えるリサ、一重まぶたを気にしているルイなど、それぞれの年齢や状況に合わせた悩みがリアルに描かれ、読者の共感を呼びます。

さらに、物語にはレンアイ@委員初の男性相談者である海棠建三（けんぞう）が登場します。彼は後に、ワコの母親と恋人関係になる海棠公造（けんぞうの父）との重要な接点となります。この恋愛模様も物語にスパイスを加え、大人たちの世界観も垣間見せることで、多様な人間関係が描かれています。

『レンアイ@委員』は、単なる少女小説にとどまらず、友情、恋愛、成長といった普遍的なテーマを扱い、読者に温かい気持ちと勇気を与えてくれる作品です。個性豊かな登場人物たち、そして彼らの織りなす人間模様は、多くの読者の心を掴んで離しません。ワコとナツメの成長を通して、読者自身も自身の経験や感情を振り返り、共感し、そして前向きな気持ちになれるでしょう。

物語全体を通して、子供たちの視点、そして大人たちの視点の両方が丁寧に描かれており、多角的な視点から人生の様々な側面を見ることができる、奥深い作品となっています。小学5年生の女の子の成長物語という枠を超え、年齢や性別を問わず、多くの人々に感動と共感を与える、普遍的な魅力を持つ作品と言えるでしょう。

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