レンツォ・ゾルジ

レンツォ・ゾルジ：F1とスポーツカーの軌跡、そして悲劇

レンツォ・ゾルジ(1946年12月12日-2015年5月15日)は、イタリアのトレント県出身の元レーシングドライバーです。F1世界選手権には1975年から1977年にかけて参戦し、その華々しい経歴と、影の部分である悲劇的な事故への関与、そして晩年まで続いたレーシングへの情熱が注目されます。

F1への道：スポット参戦からシャドウへの加入

ゾルジのキャリアは1972年、イタリアF3選手権への参戦から始まりました。彼はF3で経験を積み、1975年、スポンサーの資金提供により、ウィリアムズチームからF1イタリアグランプリにスポット参戦する機会を得ます。これが彼のF1デビュー戦となりました。その後、1976年のブラジルグランプリにもスポット参戦しますが、資金調達の都合でF1からの撤退を余儀なくされます。

しかし、1977年にはイタリア人スポンサー、フランコ・アンブロジオの支援を受けてシャドウチームに加入し、F1に復帰を果たします。この年、彼は5レースに出走し、1回完走を果たし、貴重な1ポイントを獲得しました。しかし、スポンサー資金の枯渇により、スペイングランプリを最後にF1参戦に幕を閉じます。

悲劇の南アフリカグランプリ

1977年南アフリカグランプリは、ゾルジのF1キャリア、そして人生において大きな転換点となりました。このレースでゾルジのマシンはエンジン故障によりリタイアし、小規模な火災が発生します。消火活動中にコースを横切った2人のファイアマーシャルのうち1人が、ゾルジのチームメイトであったトム・プライスのマシンに接触し、その衝撃により2人とも命を落とすという痛ましい事故が発生しました。この事故はゾルジ自身にも大きな衝撃を与えたことでしょう。

スポーツカーへの転向と輝かしい勝利

F1からの撤退後、ゾルジはスポーツカーレースに転向します。1979年にはモンツァ1000kmでローラ・T286を駆り、マルコ・カポフェッリとのチームで優勝を飾るなど、輝かしい活躍を見せました。1985年のモンツァ1000kmを最後に現役を引退します。

ドライビングスクールの経営と晩年

引退後は、南イタリアのビネット競馬場でピレリ・ドライビングスクールを経営し、後進の育成に尽力しました。長年の闘病生活の末、2015年5月15日、68歳で死去。故郷ジアーノ・ディ・フィエンメの墓地に埋葬されました。

まとめ：レーシングへの情熱と不運

レンツォ・ゾルジは、F1で短いながらも華々しい活躍を見せ、スポーツカーレースでも成功を収めた才能豊かなドライバーでした。しかし、南アフリカグランプリでの悲劇的な事故は、彼のキャリアに暗い影を落としました。それでも彼はレーシングへの情熱を失わず、ドライビングスクールの経営を通じて、モータースポーツ界への貢献を続けました。彼の功績は、F1やスポーツカーレースの歴史に刻まれただけでなく、彼を慕う人々の記憶にも長く生き続けるでしょう。

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