レンリソウ属

レンリソウ属（Lathyrus）とは

レンリソウ属は、マメ科に属する植物の一群で、世界中の温帯地域を中心に約160種が分布しています。スイートピーやレンリソウなどが含まれ、その多様な種類と特徴から、園芸、農業、そして毒性といった様々な側面を持ち合わせています。

レンリソウ属の特徴

多くはつる性の植物で、茎は三角形の断面を持ち、翼と呼ばれる特徴的な構造があります。葉は羽状複葉で、小葉は2〜6枚。先端が尖った狭長楕円形をしています。巻きひげは分岐せず、単一の構造です。花は総状花序をなし、軸に沿って花が並んで咲きます。開花時期は主に6月から7月にかけてです。

園芸品種として知られるスイートピーやヒロハノレンリソウなどは、赤、バラ色、ピンク、白、黄色、紫、青など、多彩な花色と芳香を持ち、非常に人気があります。しかし、これらの栽培種はカビやうどん粉病に感染しやすいという側面も持っています。

栽培と利用

レンリソウ属の植物は、観賞用の花卉園芸だけでなく、食用としても利用されています。グラスピー、L. cicera、ヒゲレンリソウ、オトメレンリソウなどがその例です。キュウコンエンドウは、根にできる澱粉質の芋が根菜として食用に栽培されています。

毒性について

レンリソウ属の植物は、種類を問わず、多かれ少なかれ神経毒性を持つアミノ酸、オキサリルジアミノプロピオン酸（ODAP）を含んでいます。そのため、食用として栽培されている種類であっても、種子を大量に摂取すると、下半身麻痺を引き起こすラシリズム（ラチルス病）という難病を発症する危険性があります。食用とする場合は、適切な処理と摂取量に注意が必要です。

日本に自生・帰化するレンリソウ属の主な種類

日本には、レンリソウ、エゾノレンリソウ、イタチササゲ、ハマエンドウの4種が野生種として存在します。その他、いくつかの帰化種も報告されていますが、分布は地域限定的です。

レンリソウ：日本を含む東アジアの温帯地域に分布。
エゾノレンリソウ：北海道や本州の日本海側などに分布。
イタチササゲ：日本を含む東アジアの温帯地域に分布し、山林に自生。
ハマエンドウ：日本を含む世界中の温帯地域の海岸に広く分布。
タクヨウレンリソウ：中近東原産で、九州の一部に帰化。
オトメレンリソウ: 日本に帰化の報告がある。
スズメノレンリソウ: ヨーロッパ原産。
ヒゲレンリソウ: 地中海地方原産で、日本に帰化の報告がある。
ヤナギバレンリソウ: 日本に帰化報告がある。

主な栽培種

スイートピー：園芸品種として非常に人気があり、多様な花色と香りを持つ。
グラスピー：食用として地中海地方やインドなどで広く栽培されている。
ヒロハノレンリソウ: 宿根スイートピーと呼ばれ栽培もされる。
* キュウコンエンドウ: 芋が食用として栽培される。

レンリソウ属は、その美しい花で私たちを楽しませてくれる一方で、毒性を持つという側面も持ち合わせています。利用する際には、それぞれの種類の特徴をよく理解し、安全に配慮することが大切です。

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