レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財

レヴォチャ歴史地区、スピシュスキー城及びその関連する文化財

この世界遺産は、スロバキアに位置し、中世東ヨーロッパの集落の姿を今に伝える貴重な遺産です。1993年に「スピシュスキー城および関連する文化財」として登録された後、2009年に「レヴォチャおよびスピシュ地方の名工パヴォルの作品」が追加され、範囲が拡大されました。

構成資産

この世界遺産は、以下の二つの構成資産から成り立っています。

1. スピシュスキー城および関連する文化財
スピシュスキー城
13世紀前半にタタール人の侵攻に対抗するために建設された城です。ロマネスク様式を基調としつつ、ゴシック、ルネサンス、バロックといった各時代の建築様式が付け加えられてきました。1780年の火災で廃墟となりましたが、後に修復され、現在ではスロバキアの重要な文化財となっています。
スピシュスケー・ポドフラジエ
スピシュスキー城の麓に広がる町で、ロマネスク様式の教区聖堂が残っています。「経済都市」として発展し、15世紀には繊維産業で賑わいました。16世紀の大火後にルネサンス様式で再建された建物が多く残っています。
スピシュスカー・カピトゥラ
12世紀に成立した町で、もともとは聖職者の居住区として発展しました。聖マルティヌス大聖堂は、この地方の宗教的な中心地であり、ロマネスク様式を基調としつつ、ゴシックやバロック様式の要素も取り入れています。
ジェフラ
スピシュスキー城の南東に位置する村落で、スロバキア人集落としては最古の部類に入ります。聖霊聖堂は後期ロマネスク様式と初期ゴシック様式を併せ持ち、13世紀から15世紀にかけて描かれたフレスコ画や16世紀の初期バロック様式の木造祭壇が残されています。

2. レヴォチャおよびスピシュ地方の名工パヴォルの作品
レヴォチャ
13世紀から14世紀にかけて成立した町で、中世の街並みが非常によく保存されています。旧市街は四角い広場を中心に、市場跡、聖ヤコブ教区聖堂、福音主義教会、市庁舎などが配置されています。聖ヤコブ教区聖堂には、15世紀から16世紀にかけて活躍した地元出身の彫刻家、名工パヴォルによる巨大な木造祭壇があります。この祭壇は、後期ゴシック様式の傑作として高く評価されています。

登録経緯

スロバキアがチェコから正式に分離独立した1993年、スピシュスキー城とその関連文化財が世界遺産に登録されました。その後、2002年には「レヴォチャおよびスピシュ地方の名工パヴォルの作品」が暫定リストに記載され、2009年に拡大登録が承認されました。これにより、正式名称は「レヴォチャ、スピシュスキー城及びその関連する文化財」となりました。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。

(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例
世界遺産委員会は、この基準の適用理由について、この地域が中世の東ヨーロッパにおける集落の姿をよく保存しており、多様な建築様式が歴史的な変遷を示していると評価しました。

この世界遺産は、中世の建築や文化、芸術を体感できる貴重な場所であり、その歴史的価値は非常に高いと言えます。

もう一度検索