レ・ティ・ルー

レ・ティ・ルー：ベトナム初の女性画家

レ・ティ・ルー（黎氏榴、1911年1月19日 - 1988年6月6日）は、ベトナムの画家であり、ベトナム美術大学（旧インドシナ美術学校）初の女子学生として知られています。彼女は、マイ・チュン・トゥ、レ・フォー、ヴ・カオ・ダンといった他のベトナム人画家と共に、1930年代にパリへと渡り、国際的な舞台で活躍しました。1971年に引退するまで、フランスで美術教師として教鞭を執りながら、数多くの作品を制作しました。

生い立ちと教育

レ・ティ・ルーは、北ベトナムのハバック州、ザーラム県、トーコイ（現在のハノイ）で生まれました。父親のレ・ヴァン・クーは、フランス式の教育を受けた公務員であり、社交界にも顔が広かった人物でした。2人の姉が教職大学に進む中、ルーは1926年にインドシナ美術学校に入学しました。当時の美術学校では、ヌードモデルを務めるのは刑務所の受刑者のみでした。彼女は男子学生ばかりのクラスで唯一の女子学生であり、孤立することも多く、男子学生から嫉妬や偏見による作品への冒涜行為を受けることもありました。

卒業後、ルーはブオイ学校、ハンバイ学校（ハノイ）、ギアディン美術学校（サイゴン）といった名門校で教鞭を執りました。ブオイ学校では、後に著名な画家となるファン・ケアンを育成しました。

作品の特徴

レ・ティ・ルーの作品は、古典主義と印象主義から強い影響を受けており、そのことが作品に溢れる生命力と色彩に表れています。彼女は、油彩や絹を主な画材として用い、グアッシュやインクも試しながら、独特の柔らかくメランコリックな雰囲気を作り出しました。特に、彼女は絹に描くことによって、繊細で優美な作品を生み出しました。

女性性と作品の主題

彼女の作品の主なテーマは、女性と子供です。これらの主題を通して、彼女は女性の美しさや、母子の愛情、日常の何気ない情景を温かく表現しています。彼女の作品には、以下のようなものがあります。

花束を持った少女（インクとグアッシュ、絹、制作時期不明）
女性と子ども（インクとグアッシュ、絹、1960年代頃）
信頼 (打ち解ける女性たち)（インクとグアッシュ、絹、1938年）
4本足の競争 (手と膝のレース)（グアッシュ、絹本、1970年）
* 母と子供（グアッシュ、絹本、1968年）

これらの作品から、彼女の卓越した技術と、人間への温かい視点を感じ取ることができます。レ・ティ・ルーは、ベトナムの美術史において重要な位置を占める画家であり、彼女の作品は今日でも多くの人々に愛されています。

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