ロイヒテンベルク公

ロイヒテンベルク公爵家は、19世紀初頭にバイエルン王国で創設された爵位であり、その歴史は複雑に絡み合っています。元々、フランス皇帝ナポレオン1世の継息子であるウジェーヌ・ド・ボアルネが、その地位の喪失に対する補償として、1817年にロイヒテンベルク公爵位を与えられたことに始まります。

ウジェーヌは、ナポレオンからフランクフルト大公国やイタリア王国の統治を任されるほどの信任を得ていましたが、ナポレオンの没落と共にその地位を失いました。そこで、義父であるバイエルン王マクシミリアン1世は、ウジェーヌにロイヒテンベルク公爵位と、半独立的なアイヒシュテット侯領を与え、彼の将来を保障しました。

第2代公爵オーギュストは、ポルトガル女王マリア2世の最初の王配となりましたが、残念ながら継嗣をもたらすことなく早世しました。その後、弟である第3代公爵マクシミリアンが、ロシア皇帝ニコライ1世の長女マリヤ・ニコラエヴナと結婚したことで、ロイヒテンベルク公爵家はロシア皇室の一員となります。この結婚により、マクシミリアンの敬称は「諸侯家の殿下」から「皇帝家の殿下」へと昇格し、公爵家は事実上、広義のロシア皇帝家に属することになりました。

1855年、第4代公爵ニコライ・マクシミリアノヴィチは、バイエルンのアイヒシュテット侯領を放棄し、公爵家はロシアに軸足を移していきます。そして1890年、第4代公爵ニコライは、ロシア皇帝アレクサンドル3世からロシア貴族の爵位であるロイヒテンベルク公爵位を授けられました。ただし、この爵位は儀礼的なものであり、領地などは伴いませんでした。バイエルン側の公爵位は、ニコライの弟エヴゲーニイが相続しましたが、ロシア側の公爵位は、ニコライが貴賤結婚によって儲けた息子ニコライに受け継がれるという、複雑な相続関係となりました。

2つのロイヒテンベルク公爵位は、1917年のロシア革命と1918年のドイツ革命による共和制移行によって、名目上のものとなりました。バイエルン側の公爵位は1974年に継嗣が絶えましたが、ロシア側の公爵位は現在も相続人が存在しています。

ロイヒテンベルク公爵家（バイエルン）
1817年 - 1918年

ロイヒテンベルク公爵家（ロシア）
1890年 - 1917年

主な人物

ニコライ（在位1890年 - 1891年） - バイエルンの第4代ロイヒテンベルク公爵
ニコライ（在位1891年 - 1917年、名目上1917年 - 1928年） - 初代公爵ニコライの長男
ニコライ（名目上1928年 - 1937年） - 第2代公爵ニコライの長男
ニコライ（名目上1937年 - ） - 第3代公爵ニコライの長男

関連項目

ボアルネ家

外部リンク

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