ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント

ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント（RAE）

ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント（Royal Aircraft Establishment, RAE）は、イギリスの重要な航空研究機関であり、航空技術の発展において重要な役割を果たしてきました。最初はバルーン・ファクトリーとして始まったこの機関は、1911年にロイヤル・エアクラフト・ファクトリーと改名し、以降、数々の歴史的な航空機の開発に寄与しました。RAEの設立は、第一次世界大戦中に整備されたイギリス陸軍航空隊向けの航空機、特にRAF S.E.5の開発に貢献しました。

RAEは1918年にイギリス空軍が設立されるとともにロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントに改称され、その後もイギリスの航空技術の中心的な存在として機能しました。1946年にはベッドフォードシャーに移転し、新たな研究と開発の拠点としての役割を確立しました。

第二次世界大戦中、RAEは重要な研究施設として機能し、特に技術的な突破口を開いたのが、女技術者のベアトリス・シリングです。彼女はロールス・ロイス・マーリンエンジンの欠陥解決に成功し、これにより戦局が有利に進展しました。技術革新に貢献する一方で、RAEは同時にロケット研究や開発にも取り組み、イギリス初の人工衛星投下に成功したブラック・アローなども手掛けました。

1988年には機関の名称がロイヤル・エアロスペース・エスタブリッシュメントに変更され、1991年には他の研究機関と統合されてディフェンス・リサーチ・エージェンシー、つまり国防研究庁となりました。そして1995年には、国防省の他の組織と統合され、ディフェンス・エボリューション・アンド・リサーチ・エージェンシー（国防評価研究庁または国防評価研究所）として新たに生まれ変わりました。

2001年には組織の一部が民営化され、国営のディフェンス・サイエンス・アンド・テクノロジー・ラボラトリー（国防科学技術研究所）とQinetiQ（キネティク）として分かれることになりました。これにより、長い歴史を持つRAEは、国防技術の進化に寄与し続ける一方で、民間部門との連携も強化されることとなりました。

その歴史のなかで、RAEはイギリスの航空機開発の重要な施設として、また科学技術における先駆者としての地位を確立してきました。今でも多くの人々にとって、RAEの研究と成果は航空技術の発展に対する深い影響を与え続けています。

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