ロイ・ウッド

ロイ・ウッド：英国ロック界の異才

ロイ・ウッド（Roy Wood、1946年11月8日 - ）は、イギリス出身のミュージシャン。卓越した演奏技術と作曲能力で、数多くのヒット曲を世に送り出してきました。ザ・ムーブ、エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）、ウィザード、ソロ名義で、その才能をいかんなく発揮。英国チャートのトップ10にランクインした楽曲は、実に16曲にも及びます。

幼少期から楽器に親しみ、「目にした楽器は全てマスターする」という驚くべき目標を掲げ、実践。その結果、10種類以上の楽器を演奏できるマルチプレイヤーとしての伝説を確立しました。

1960年代後半から70年代前半のロックシーンにおいて、重要なギタリストの一人として活躍。ザ・フーのピート・タウンゼントにも匹敵する、パワーコード、アルペジオ、ヘヴィーなギターリフを駆使した変幻自在なギタープレイは、ザ・ムーブなどの楽曲を通じて、後のギタリストたちに大きな影響を与えました。チープ・トリックのリック・ニールセンやバン・E・カルロスなど、国内外のアーティストからも熱烈な支持を受け、ロックの偉人として敬愛されています。

キャリアの軌跡

1967年、ロックバンド「ザ・ムーブ」の中心メンバーとしてデビュー。ロイが生み出す、ポップセンス溢れるロックンロール楽曲と、ザ・フーから影響を受けたワイルドなステージングは、短い活動期間ながらもイギリスで数々のヒットを記録し、60年代後半の音楽シーンを席巻しました。

1972年、ザ・ムーブは解散。ジェフ・リンと共にエレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）を結成しますが、2枚目のアルバム制作中に脱退。その後は、ソロ活動と並行して、1973年にウィザードを結成。「I Wish It Could Be Christmas Everyday」などのヒット曲をリリースしますが、ウィザードも長くは続かず、1975年に解散。

ウィザード時代、ロイは七色の長髪と奇抜なメイクで観客を魅了。グラムロックバンドの一つとして、その名を轟かせました。

ウィザード解散後、ロイはソロアーティストとしての道を歩み始めます。ソロ作品では、作詞・作曲、演奏、アートワークまで、ほぼ全てを自身で手がけるという徹底ぶり。初期の2枚のアルバムは、完成度の高さから現在もカルト的な人気を博しています。

しかし、ソロ作品は発売当時、正当な評価を受けることができませんでした。原因として、所属レコード会社の意向により、他のアーティストの販売を優先されたことや、レコード会社からの十分なバックアップが得られなかったことなどが挙げられます。不遇の時代を過ごしますが、その才能は決して埋もれることはありませんでした。

プライベートでは、ルネッサンスのボーカリスト、アニー・ハズラムと4年間婚約。ルネッサンスの楽曲「トリップ・トゥ・ザ・フェア」は、二人の初デートをモチーフに制作され、1977年にはハズラムのソロアルバムをプロデュースするなど、公私ともに親密な関係を築きました。

再評価と現在

80年代以降は表立った活動を控えていましたが、90年代に入り、「正当な評価を受けていない不遇の天才」として再評価の機運が高まります。2000年には、未発表音源集『メイン・ストリート』がウィザード名義でリリース。その後も、代表曲を集めたコンピレーションアルバムや、ソロ作品、ウィザードの作品のリマスター盤が続々と再発売され、再び脚光を浴びています。

現在も「The Roy Wood Rock and Roll Band」を率いて、ライブやテレビ出演など、イギリスを拠点にマイペースな活動を続けています。

ディスコグラフィ

ソロ・アルバム
『ボールダーズ』 - Boulders (1973年)
『マスタード』 - Mustard (1975年)
『スーパー・アクティヴ・ウィゾ』 - Super Active Wizzo (1977年) ※Roy Wood Wizzo Band名義
『オン・ザ・ロード・アゲイン』 - On The Road Again (1979年)
『スターティング・アップ』 - Starting Up (1986年)

主なソロ・シングル
"Dear Elaine" (1973年) ※英国チャート 18位
"Forever" (1973年) ※英国チャート 8位
"Goin' Down The Road" (1974年) ※英国チャート 13位
"Oh What A Shame" (1975年) ※英国チャート 13位
"Look Thru' The Eyes Of A Fool" (1975年)
"Any Old Time Will Do" (1976年)
"I Wish It Could Be Christmas Everyday(Party Mix 12inch)" (1984年) ※英国チャート 23位

英国ロックシーンを彩った、ロイ・ウッドの輝かしい軌跡は、これからも多くの音楽ファンを魅了し続けるでしょう。

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