ロクロワの戦い

ロクロワの戦い

ロクロワの戦い（Bataille de Rocroi）は、1643年5月19日にフランスのロクロワ近郊で行われた、三十年戦争の重要な戦闘です。この戦いは、フランス軍とスペイン軍が衝突したもので、両軍はそれぞれ異なる背景を持ち、戦略的な目的がありました。

背景

三十年戦争が始まった1635年以降、フランスは神聖ローマ帝国とスペインとの間で活発に戦闘を繰り広げていました。特に1640年以降は、フランスはカタルーニャに派兵し、スペインに対する圧力を高めることを試みました。そんな中、1643年にはスペインのフランシスコ・ダ・メルロ総督がフランス国王ルイ13世が病に倒れた機に、再度フランス侵攻を決意しました。スペイン軍は三つの部隊に分かれ、メルロとイーゼンブルク公がロクロワに向かい、他の部隊が別の地点に進軍しました。この動きはフランスが予期していたものの、具体的な攻撃の目標を特定できていない状況でした。

両軍の戦力

フランス軍

フランス軍は、指揮官の中にパリに出向いている者が多く、招集が間に合わない状況で戦闘を迎えました。総指揮官のアンギャン公はまだ22歳で経験が不足していましたが、経験豊富な指揮官たちも数名いました。フランス軍は軽量な野戦砲を装備していたと伝えられていますが、その詳細な証拠は明らかではありません。

スペイン軍

一方、スペイン軍はより厳しい状況に置かれていました。指揮官の多くは経験不足で、特に総指揮官のメルロは外交官出身でありながら軍務経験は限られていました。スペイン軍はまた、反乱を鎮圧するためにベテラン部隊の一部を他地域に派遣していたため、兵士の質も劣っていました。特に騎兵は未熟な状態で、訓練も不足していました。

戦闘の経過

5月18日にフランス軍は進軍を開始し、スペイン軍との対峙が続きました。両軍は夜間に陣を敷き、一触即発の状態で眠りにつきました。翌朝の明け方、戦闘が開始され、フランス軍はまず右翼騎兵でスペイン軍のマスケット兵を排除しました。これに対し、スペイン軍は一時的に優勢を保ちましたが、両軍の戦局は次第に変化していきました。

フランス軍は中央右翼からの反撃により、スペイン軍の左翼騎兵に攻撃を加えました。スペイン軍は陣形が崩れ、一気にフランス軍が優位に立ちました。特に経験豊富な指揮官を失ったスペイン軍はフランス軍の攻撃に対応できず、最終的には潰走することになります。

最後の抵抗

スペイン軍のメルロは、逃げるのではなく抵抗を選び、包囲された部隊に残留しました。彼はデ・ベックの救助を期待し、その期待が裏切られると団結し、強固な方陣を形成しました。フランス軍は数回の攻撃を試みるも、スペイン軍の方陣を打破することはできませんでした。最終的には、デ・ベックが現れなかったため、スペイン軍は降伏を選びました。

戦後の影響

アンギャン公は勝利したものの、その後の追撃は行わず、戦局を活かすことはできませんでした。スペイン軍は多大な損害を被り、文書や指揮系統のシステムを失いましたが、アンギャン公の追撃がなかったために防衛を整える時間を持つことができました。この戦いは、フランスとスペインの長きにわたる対立の一環として記憶されることとなり、戦争は1659年まで続くことになります。

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